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北陸工業新聞社
2021/05/18

【石川】首長インタビュー/中能登町長/宮下為幸氏/クリニックの集積構想を具体化へ/能登部地区の重伝建目指す

 3月に投開票された中能登町長選で、新人3人による争いを制し、初当選を果たした宮下為幸氏。初登庁から1カ月が経過し、「町の発展のため、一生懸命汗をかきながら頑張っていくしかない」と決意を込める。子育て環境の充実や若者らの住み良いまちづくりへ向けた政策を掲げる宮下氏に、今後の展望を聞いた。

 健康・福祉の施策では、「小児科や内科、整形外科がそろうようなクリニックの集積地を形成したい。これから4年間のうちにできればと思っている」と話し、「健康ビジネス集積構想」の策定に取り組む考えを示す。
 子育て世代や高齢者らの利便性を考慮し、「商業施設が集積する道の駅『織姫の里なかのと』周辺エリアでできればと考えている」と、今後の具体化へ準備を進める。
 子育て・教育環境の充実へ向け、新たに「子育て基金」を創設する計画もある。公園の遊具更新や返済の必要がない奨学金などに活用したい考えで、「子どもに投資していくことが重要」と、町の未来を担う人材をサポートしていく。

官民連携

 2月に旧鹿西中校舎を改修した町役場分庁舎「行政サービス庁舎」が開庁したことに伴って、今後、跡地活用の検討が進められる旧鹿島、鹿西両庁舎。町は老朽化が進む鹿島庁舎を先行して取り壊す計画だ。
 現在、旧滝尾小跡地ではPFI(民間資金を活用した社会資本整備)による町営住宅の移転事業も進めており、「(旧鹿島庁舎跡は)敷地面積も広く、高台の景観がすばらしい場所。PPP(官民連携)やPFIの手法を使うなどして、有効に活用できれば」と話す。
 町は、定住促進へ遊休用地を活用した宅地開発にも力を入れており、今年度は能登部下地区での造成を予定している。
 観光誘客の足がかりとして、注力したいのが能登部地区の重要伝統的建造物群保存地区選定へ向けた取り組み。「あずま建ち」の古民家が50軒ほど連なるエリアを後世に残し、交流人口の拡大による新たなにぎわい創出を目指す。「多くの人が訪れる場所になれば、若者の創業にもつながる」と期待を寄せる。
 このほか、能登歴史公園の石動山や、雨の宮古墳などの整備も推進していく。「石動山では大型バスが乗り入れできるような道路が必要」と話し、今後は県とも連携しながら、基本構想を取りまとめるなどして事業の具体化を図る。

七人の侍

 コロナ禍で外出する機会が減り、自宅で過ごす時間が増えた。そんな時、何度も見返したのがテレビ放映されていた映画「七人の侍」(黒澤明監督)だ。野武士の略奪に苦しむ百姓が雇った7人の侍が、身分やあつれきを乗り越えながら、村を救う物語。「多様な個性が集まっているが、しっかりとコミュニケーションを取り一致団結し、村を守ることができた。これからのまちづくりや組織作りのヒントになる」と力を込める。
 「町を守り、想いを紡ぐ」という選挙中のキャッチフレーズを胸に、職員や町民と力を合わせ、魅力あるまちづくりへまい進する。

みやした・ためゆき 七尾工高卒。2001年8月から旧鹿西町議、05年の3町合併後は中能登町議として議長も務めた。議員5期目の途中に町長選に立候補し、初当選した。任期は4月3日から4年間。70歳。

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