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建通新聞社四国
2021/05/25

【愛媛】山鳥坂ダム 26年度完成は困難

 山鳥坂ダム建設事業の適切な事業執行と総合的なコスト縮減策などについて専門家等の意見を聞く「山鳥坂ダム工事事務所 ダム事業費等監理委員会」(委員長・森脇亮愛媛大学教授)の本年度初会合が5月14日に開かれ=写真、事務局である国土交通省山鳥坂ダム工事事務所が新たな地滑りの判明やこれに伴うダムサイトの精査などで現目標の2026年度完成が困難であると報告した。委員会は完成時期の延期に一定の理解を示したものの、地域住民の一日も早い不安払しょくに向け、ダムサイトや事業費・工期の精査を急ぎ、次回委員会を速やかに開き報告するよう求めた。
 同事務所によると、新たな地滑りは、現ダムサイト右岸下流域(月野尾)のこれまで「ゆるみ岩盤」として推測されていた箇所で、高品質ボーリングなどの結果、将来大規模な地滑りを引き起こす可能性が高いことが判明した。大規模な地滑り対策が必要となり、その結果、事業費・工期に大きく影響することも分かった。
 また、ダムサイト上流(見の越上・下流地区と奥の山地区)の貯水位の水位変動に対する地滑り対策でも当初想定していた対策工法の見直しが必要で、これらも事業費・工期に大きく影響することが判明した。付け替え道路などでの現場条件を踏まえた設計変更(巨大岩塊の出現など)、働き方改革(週休2日制の導入)、自然由来による重金属への対応などもあり、26年度の完成が困難な状況で、ダムサイトの精査と合わせ事業費・工期の精査も急務になるとした。
 同事務所は、地滑り対策工法の見直しに伴う事業費・工期への影響を軽減する方策の一つとして現ダムサイト上流でのダムサイト変更の可能性を検討するため、その周辺で高品質ボーリング等を実施した結果、ダムサイトを上流に変更できる可能性も出てきたとし、引き続きダムサイトの精査や事業費・工期の精査などを提案した。委員会は事務所の判断を妥当とし早急な精査と報告を求める一方、必要なダムの機能確保や徹底したコスト縮減、早期の完成などを促した。
 山鳥坂ダムは大洲市肱川町山鳥坂(肱川水系河辺川)に計画する洪水調節を主目的とする堤高103b、堤頂長282b、堤体積69万立方b、天端高161bの重力式コンクリートダム。総貯水量は2490万立方b。
 西日本豪雨被災を受けてまとめた「肱川緊急治水対策」では、26年度のダム完成と「令和一桁代前半のダム本体工事着手」を位置付けている。
提供:建通新聞社