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建設経済新聞社
2021/06/02

【京都】市街化調整区域で1f超の産業用地創出 高速ICの近くなど適地に 産業観光局が方向性まとめ

 京都市は5月31日、「大規模な産業用地創出に向けた産業政策上の方向性」を明らかにした。
 学識経験者・有識者で構成する「未来の京都の成長・発展を支える学術研究・先端作業等用地の創出」研究会での議論、調査・研究の成果として、産業観光局がとりまとめたもの。
 内容をみると、産業用地創出の課題として、1f未満の中小規模の産業用地は、市南部の工業・工業専用地域を中心に開発可能な土地が存在し、企業立地促進制度補助金、土地所有者奨励金や不動産団体・事業者と連携したマッチング支援などにより、土地の利用転換を促進し、産業用地の創出を図っていく必要があるとした。
 1f以上の大規模な産業用地は、まとまった土地がある4エリア(久我(名神以南))、伏見西部第四地区、伏見西部第五地区、久世・久我(名神以北)について、即地的に調査・検討を行ったところ、伏見西部第五地区を除く3エリアについては、住宅地開発、インフラの未整備や、区画の一部での開発進行など、大規模なまとまった産業用地として活用するためには課題が多いことが判明した。
 一方、伏見西部第五地区から大規模産業用地が創出される可能性があるものの、相続税の納税猶予を受けている農地も含まれている等の課題がある。
 こうしたことから、市内の工業・工業専用地域において、大規模産業用地として活用可能な土地が不足し、確保が困難になっていると現状を指摘。
 産業用地創出の方向性として、近年の工場立地の動向から産業用地の面積は平均1fを上回っており、製造業等の企業誘致のためには、1f以上のまとまった大規模な産業用地が求められている。
 また工場立地が高速インターチェンジ(IC)と近接して行われる傾向が進んでおり、高速ICと工場立地場所までの平均距離が小さくなるなど、工場立地における高速ICの重要性が高まっている。
 近畿圏においても、高速道路ネットワークが整備された地域で事業所の立地が多くみられる一方、旅行速度周辺地域に比べて低速である京都市では、高速ICとの近接性がより重要だが、高速IC近傍の土地が産業用地として活用されていない地域がある。
 そこで市内の工業・工業専用地域において、大規模産業用地の確保が困難になっていることも踏まえ、事業所の立地に適した高速IC・国道などの幹線道路からのアクセスが良い市街化調整区域において、産業用地の創出を図っていく必要があるとした。
 対象エリア(産業用地の要件)は、@IC・幹線道路等からの優れたアクセス性A大規模産業用地の確保が可能(1f以上)B労働力の確保が可能(人口集中地区の近傍の3点。
 農業との調和について、市街化調整区域で産業用地を創出するにあたっては、農業振興地域の整備に関する法律(農振法)に基づく農業上の土地利用との整合を図ったうえで、集団的農地の中央部での開発や小規模開発の防止等、農地など周辺環境や営農との調和を図りながら、必要最小限の面積規模で土地利用転換を進める。
 優先して誘致する産業分野(優先して立地誘導する業種)として、▽物流関連分野▽飲食料品分野▽成長ものづくり分野▽環境・エネルギー分野▽ヘルスケア・ライフサイエンス分野▽ICT関連の産業集積を活用した第4次産業革命分野−を挙げた。