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北陸工業新聞社
2021/07/14

【石川】首長インタビュー/能登町長/大森凡世(かずよ)氏/宇出津の統合保育所、24年度開所へ/真脇遺跡公園でグランピング

 3月の任期満了に伴う能登町長選で初当選を果たした後、初めて臨んだ町議会6月定例会議が先月閉会し「何とか無事に終わったというのが正直なところ」と安堵の表情を浮かべる大森凡世氏。今後は補正予算に盛り込んだ施策を中心に、町政運営が本格化する。まちづくりに対する取り組みや思いを聞いた。

 真っ先に取り組む施策として、宇出津地区にある「しらさぎ」「ひばり」の両保育所の統合計画を掲げ、子育て環境の充実に注力する。ひばり保育所の解体跡地を活用し新園舎の建設を想定しており「いろんな調査、分析を行った上で、結果を出したい」と話す。2024年度の開所を目指しており「スケジュール的には少しタイトにはなるが、何とかできれば」との思いだ。
 県無形民俗文化財「あばれ祭り」のキリコを間近で見学できる展望デッキの設置案を見直すことにした旧町役場能都庁舎跡地の利活用策。「(持木一茂)前町長時代に議会にお示しした案は白紙にしたい。基本的にはイベント広場を設け、多目的に活用できる形にしたい」と述べ、今後、計画を具体化させる考えを示す。

 6月補正予算には、公共施設の適正管理や安全対策を目的に、旧学校や公民館、健康福祉センターといった遊休施設の解体事業費を盛り込んでいる。跡地の有効活用に関しては「土地を取得したいという事業者などがいれば、売却という方法も選択肢の一つになる」との見解を示す。
 能都、内浦、柳田の2町1村が合併し、能登町が誕生して16年が経過した。合併前に建てられたスポーツや福祉関係など重複した施設の今後の再編が喫緊の課題であると認識している。
 「例えばエリアごとに分野を分けるなどして、集約化、複合化に転換していく必要がある。建設当時よりも当然利用者も減っている。車社会の現在、10〜15分走れば目的地に行ける」と話し、今後の対応策について町民の理解が得られるよう粘り強く検討を進める。
 既存施設に新たな価値を生み出す取り組みとして、真脇遺跡公園の未利用地に、手軽で新しいキャンプスタイル「グランピング」が行えるスペースができる。ドームテント8棟ほどを設置し、宿泊できる空間を確保。東京の民間事業者が事業を担い、10月の開業を予定している。「隣接地には町の宿泊施設『真脇ポーレポーレ』もある。食事提供などで活用してもらい、少しでも施設の収益につながれば」と期待を込める。

 地域の生業を存続させるため、漁業支援や関係人口創出へ向けた事業などにも力を入れる。少子高齢化が加速する自治体で財源に限りがある中、「みんなで助け合わないと生きていけない状況になってくる。行政主導ではなく、『地域主導型』が理想。地域から出てくる意見やアイデアを重んじてやっていきたい。任期中に道筋を付けれれば」と力を込める。
 「和を持って、オープンに」を信条に、持続可能なまちづくりに全力で取り組む決意だ。

 拓殖大卒。1986年に旧能都町職員となり、市町村合併後の17年から能登町健康福祉課長を務めた。3月の町長選に出馬、初当選した。任期は4月10日から4年間。58歳。

hokuriku