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建設経済新聞社
2021/09/01

【京都】文科省所管の赤れんが倉庫3棟 展示施設整備し公開活用へ 令和3年度に構想、令和4年度に計画策定

 舞鶴市は、赤れんが倉庫群のうち、明治期の建設当初の姿を残す海軍需品庫3棟について、展示施設を主とする新たな公開施設として整備する。
 市は9月補正予算案に歴史文化資産活用経費として300万円を計上するとともに、800万円を限度額とする債務負担行為を設定。令和3年3月策定の「国指定重要文化財建造物舞鶴旧鎮守府倉庫施設保存活用計画」に基づき、公開活用するための展示基本構想を3年度に策定、展示基本計画を4年度に策定する。その後、耐震改修、修理などを経て、9年度の公開施設オープンを目指す。
 平成20年6月に重要文化財に指定された舞鶴旧鎮守府倉庫施設8棟のうち、1号〜5号棟の5棟は舞鶴市所有、6号〜8号棟の3棟は文部科学省所管で、建物内部は舞鶴市が管理団体として管理している。1号棟は舞鶴市の直営管理で、2号〜5号棟は指定管理者の管理。指定管理者は一般社団法人京都府北部地域連携都市圏振興社(京丹後市)で、指定期間は令和2年4月1日から令和4年3月31日まで。
 文科省所管の6号〜8号棟(需品庫3棟)の概要は、▽[舞鶴海軍需品庫需品庫]6号棟=煉瓦造2階建(桟瓦葺)、建築面積550・48u▽[舞鶴海軍需品庫需品庫]7号棟=煉瓦造2階建(桟瓦葺)、建築面積550・48u▽[舞鶴海軍需品庫需品庫]8号棟=煉瓦造2階建(桟瓦葺)、建築面積550・48u。
 赤れんが周辺等まちづくり実施計画において、6号〜8号棟(需品庫3棟)及びその敷地部分は、赤れんがパーク駐車場からパーク中心部へのエントランス部分とされており、このことから来場者を迎え入れるメインゲートとして、3棟が連なる特徴を生かした整備を検討することとしている。
 ゾーニング計画によると、(1)建物内部の活用を進めるエリアは、建物内の活用を進めるとともに、3棟の中央をレールが貫いている特徴を活かし、各棟が有機的に接続されるよう整備。運搬路に面した西側面の出入口には凹凸があるため、バリアフリーに配慮した上で、建物内にアクセスできるように整備する。需品庫3棟を貫くレール及び建物間のターンテーブル、ターンテーブルから運搬路側へ延びるレールは、来場者の歩行の支障とならないよう配慮した上で、見学可能な整備を検討する。
 (2)需品庫3棟と運搬路「赤れんがロード」の景観を活かしたエリアは、赤れんがと石敷きによる運搬路に面して、赤れんが倉庫が3棟並ぶロケーションは、全国的に見ても貴重とし、市のPRにとっても貴重な資源と位置付け。今後の活用にあたり、外構に看板や照明など工作物を設置する際には最小限のものにとどめ、撮影時に取り外しが可能な措置を講じるなど文化財の景観とロケーション維持について配慮する。
 (3)通路は、赤れんがパークのエントランス部分にあたり、駐車場からパーク中心部への動線上に位置していることから、適切な通路を確保するとともに、需品庫エリアがパークの導入部(エントランス)としての機能を演出できるよう整備する。
 (4)緩衝地は、全体の景観を損なわないよう、植栽や芝などを適切に維持する。イベント時に活用できる多目的スペースとしての機能も想定する。
 6号〜8号棟(需品庫3棟)は、展示施設を主とする新たな公開施設を整備する方針。
 基本方針は、@貴重な文化財を将来に引き継ぐために、適切に文化財の修理・耐震対策等を実施A見学者が文化財を安全に見学できる公開施設を整備B現存する12棟の鎮守府倉庫のうち、最も建設当初の姿を残している3棟の文化財的価値や特徴を活かし、確実な保存と公開等活用を進めることで、倉庫群全体の文化財的価値や意義の向上に資する整備を目指すC見学者が文化財に対して理解を深めるとともに、歴史的背景である鎮守府や軍港の歴史、近代化遺産や日本遺産のストーリーに親しめる展示等を行うD将来にわたって安定的に文化財を維持管理するため、公開施設の収益等によって計画的に修繕・修理を実施。
 6号棟、7号棟は入館料等を徴収する有料施設として運営することを想定、8号棟は文化財そのものを見学するため、展示等をつくり込まない文化財保存棟とする案を検討する。
 6号棟・7号棟は、有料公開施設「海軍ゆかりのみなとまち舞鶴ミュージアム」(仮称)とし、7号棟は来場者が重要文化財の舞鶴旧鎮守府倉庫施設、需品庫3棟(6号〜8号棟)のことを知り、学び、体感できるように、文化財とその歴史的背景、変遷、用途について紹介を行うとともに、当該文化財と密接に関連する本市の歩んできた近代化のストーリーや、市内の近代化遺産、日本遺産ストーリーに親しみをもってもらうことを目的に展示を構成。また需品庫が海軍倉庫として使用されていた当時の様子を忠実に再現するエリアを設け、往時の姿を視覚的に分かりやすく紹介、6号棟は7号棟に引き続き、一連の有料公開施設として展示を構成。7号棟で紹介した歴史的背景やストーリーを来場者にさらに体感してもらえるよう、舞鶴鎮守府関連資料として実物史料展示を行う。また赤れんが倉庫群の歴史や文化に親しんでもらえるよう、体験コーナー等の設置を検討する。6号棟は2階の見学が可能なように荷揚口の既設開口部等を利用したエレベーターの設置を検討する。
 なお、市は令和2年度に重要文化財舞鶴旧鎮守府倉庫施設需品庫需品庫3棟耐震調査、重要文化財舞鶴旧鎮守府倉庫施設保存活用計画策定をそれぞれ一般財団法人建築研究協会(京都市左京区)で進めた。