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建設新聞社
2021/09/08

【東北・宮城】該当なしと答申/仙台市ガス事業民営化

 仙台市ガス事業民営化推進委員会(橘川武郎委員長)は、仙台市が公募を進めていたガス事業民営化に関する事業継承者選定について審査を行った結果、最優秀および優秀提案者の該当なしとし、7日に橘川委員長が市の郡和子市長に答申した。委員会では、応募があった1グループの提案について民営化のメリットが十分でないことなどを理由としており、郡市長は「早急に精査し最終判断をしたい」と話している。
 今回の公募には東北電力(代表構成員)・東京ガス・石油資源開発・カメイグループが参加。提案内容については200点満点中85・3点と評価。譲受希望価格は最低価格となる400億円だった。
 安定供給および保安の確保については現体制を維持・発展させていくものと評価した一方、提案で譲渡後5年間で約2万件の顧客を失う見込みを打ち出し、民営化の目的である「ガス事業の永続的発展」に対する基本的趣旨の差異が生じたことや、サービス水準・ガス料金について明示的な料金値下げの提案が無かった点などを踏まえ、グループの経営安定を重視した「守り」の印象が強く、市民、ユーザー、市にとっての民営化メリットが具体的に実感できないと判断。該当なしとすることが適当とした。
 委員会では、事業の特殊性はあるが応募が1グループとなったことや提案内容が最優秀に至らなかった点について、2050年カーボンニュートラル表明や新型コロナウイルス感染症の拡大によるエネルギー事業環境の変化が保守的かつ慎重な提案となったことは否定できないと推察。ただし、公営事業としての制約を考えれば経営形態の見直しは必要とし、一連の経過の検証やタイミング見定めの上で民営化の取り組み推進が肝要であるとした。
 橘川委員長は「他都市では民営化によるメリットは生まれており、消費者目線で見ても民営化は必要。市が持つLNG基地管理などハードルが高い部分もあり応募を増やすのは難しいが不可能ではない」と述べた。
 郡市長は「ガス事業の発展やサービス向上、地域経済の活性化に寄与できればと考えていたが、市民サービスとしてメリットが無ければ理解は得られない。今回の答申を重く受け止め、早急に精査した上で最終的な判断をしたい」と話している。

 提供:建設新聞社