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建設新聞社(長崎)
2021/09/13

【長崎】事業採択から46年、石木ダム本体着手

本年度以降の事業費約103億
   中村知事「安全安心へ、早期完成必要」

1975年の事業採択から46年―。県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業に関して県は、ついにダム本体工事に着手した。今回はダム堤体左岸の上部斜面の掘削工と右岸の伐採を実施。2021年度予算には左岸の下部斜面を掘削する工事費を盛り込んだ。石木ダムの完成目標は25年度。総事業費約285億円のうち、20年度末までに約182億円(事業費ベースで約64%)を執行。本年度以降の事業費は約103億円となっている。

 石木ダムは重力式コンクリートダムで、規模は総貯水容量548万d、有効貯水容量518万d、堤高55・4b、堤頂長234b。治水面における現計画案を含む八つの代替案で比較検討された。その結果、コスト面や実現性の観点から石木ダム案が有利であると評価。県は治水対策と水源確保を合わせて達成するために、最も有効な方法としてダム建設を掲げている。

 中村法道知事は、地域住民の安全安心を確保するため、早期完成が必要であるとの考えを強調。県土木部河川課は建設新聞社の取材に対し、「ダム本体工事に着手したことで、反対住民との大きな衝突はない。今後も安全に十分に配慮し、工事を進めていきたい」と答えた。県は川棚川の抜本的な治水対策のために必要不可欠な事業であると強調。早期完成の必要性があることから、25年度の完成を目指すこととしている。石木ダム建設現場(5月時点)

 県は19年9月、反対派住民13世帯約50人が暮らす全用地を取得。家屋などを撤去する行政代執行が可能となっている。だが、県道付け替え道路工事現場で座り込みを続ける反対住民らは、私物撤去を求めている県の呼び掛けに応じていない。

 このほか、県と住民側の対話に向けた交渉も難航。文書で条件整理を続けてきたが、工事中断のあり方など意見が折り合わず実現には至っていない。果たして本体工事は順調に進むのか。今後の動向に注目が集まる。
ksrogo