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建設経済新聞社
2021/10/19

【京都】大山崎町のマクセル倉庫跡地に 芸術と工学融合の新産業拠点計画 令和4年度の事業化目指す

 京都府は、大山崎町のマクセル椛q庫跡地にアート(芸術)とテクノロジー(工学)を融合させた産業創造や起業促進などのオープンイノベーション拠点施設を構想。近く計画調査に入る。
 同社から自社用地の無償貸与の申し出を受け、アート&テクノロジー・ヴィレッジ(ATV)構想について、プロジェクトの具体的なスキームづくりを進めている。
 京都府の西脇隆俊知事は、6月議会の答弁で「このプロジェクトは、科学技術だけではなく、京都の文化・芸術の力を生かし、アートとテクノロジーを融合させ、人間の感性や感動に基づき、人間性あふれる産業を創造し、起業を促すことをコンセプトにしている。現在、インドなど国内外から20を超える企業、芸術系を含む大学、資金調達を支える地元金融機関やベンチャーキャピタルが参加し、具体的な整備の方向性や運営の在り方などについて検討を進めている。そうした中では『この拠点をつくるプロセスそのものを斬新なものにすればよいのではないか。例えば建築用3Dプリンターでラボをつくるなど、内外のクリエイターがチャレンジできるプロジェクトを募集してみてはどうか』『新たな価値創造を図るため、京都の文化力を生かしたものづくりやサービス開発を進めるなど、これまでにない産学官交流の仕組みづくりが必要なのではないか』『ユーザーが製品づくりの段階から参画し、企業や製品の育ての親となれるよう、製品が生み出されるプロセスをメディアコンテンツを活用してオープン化するなど、前例のない取組にしてみてはどうか』といった様々な意見をいただいている」と進捗状況を報告。「この施設が世界にも類を見ないオープンイノベーションの拠点となるよう、令和4年度の事業化を目指し、取り組んでいきたいと考えている」と見通しを示した。
 計画地は国道171号沿いの大山崎町大山崎斗加坪20−1他の敷地約1万8000u。用途地域は工業地域。埋蔵文化財包蔵地(事前調査実施済み)。
 交流広場を中心に、屋内制作スペース、屋外トイレ棟の建物のほか、個別サイト、アートスペースなどを配置する。
 想定建物規模は延505u。内訳は交流広場がS造400u、屋内制作スペースがS造60u、屋外トイレ棟がS造又はRC造45u。
 府は計画調査業務を近く入札し、担当業者を決める。
 主な業務内容は@施設整備コンセプトの明確化、施設規模の算定(ATVに求められる機能や特色を最大限活かすため、施設整備の基本的な考え方をまとめる。それに基づき交流広場、屋内制作スペース、及びトイレに必要となる機能、設備、面積等を算定する)A敷地条件・法令条件の整理等B施設整備計画の作成(全体ゾーニング、平面計画、断面計画、屋外計画、構造計画、施工計画等)。
 業務委託工期は令和4年3月25日まで。このうち概算工事費の算出は令和3年12月25日まで。
      ◇      
 京都府の掲げるアート&テクノロジー・ヴィレッジの理念は、科学技術だけではなく、京都府の文化・芸術の力を生かし、アートとテクノロジーを融合させ、人間の感性や感動に基づき、人間味あふれる産業を創造し、起業を促すことを目的とする。目的達成のための拠点を整備し、次世代を担う起業家(アントレプレナー)や企業の中核を担う人材育成を行う、世界にも類を見ないオープンイノベーション拠点を目指す。
 令和元年度に基本コンセプトなどについて研究会で検討、2年度に施設を管理運営するディレクターの選任、運営手法及び施設配置計画、企業誘致などを検討し、3年度には施設整備の方向性などを検討した。
 具体化に向け、準備段階からスターマーク梶A鰍j−MBA9、轄総ロ電気通信基礎技術研究所、パロアルトインサイト等の企業や大学と連携して進めている。
 府は、ATV事業の推進に向けたコーディネート等を行う事業クリエイターにスターマークの林正勝代表取締役を任命した。期間は令和3年9月〜令和4年3月。
 なお府は、アート&テクノロジー・ヴィレッジ構想(案)検討業務について、令和2年6月に地域計画建築研究所(アルパック/京都市下京区)と随意契約した。