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建通新聞社
2021/10/29

【大阪】堺市が財政危機脱却プラン案 新規ハード事業は22〜23年度に「原則凍結」

 堺市は、2021年度から30年度までの10年間を取組期間とする堺市財政危機脱却プラン(案)をまとめた。公共事業の発注など建設関連への影響も大きく、22・23年度の新規ハード事業は「原則凍結」。改修や更新も含め、ハード事業費の総量を管理するとした。一方で、公共施設の民間移管や民間事業者による開発の誘導を促す。
 ハード事業費の総量管理では、都市の魅力や活力を高める都市基盤整備、老朽化などで安全性が確保できない施設やインフラの整備・改修など安全・安心の確保につながる事業に重点を置いて投資する。総事業費の2割程度を縮減するとしており、22年度以降継続して実施する。収支改善効果は概算で11億9000万円を見込む。
 公共施設の総量も管理し、51年度までに公共施設の延べ床面積を5%縮減することを目標に、同プランの取組期間の10年間で延べ床面積の1%縮減を目指す。
 民間のノウハウの活用にも取り組む。老朽化した公共施設は更新を前提とせず、施設の廃止や統合、民間施設の活用を進め、民間ノウハウの活用が効果的な公共施設は、民営化や指定管理者制度、パークマネジメントなどを導入。低利用・未利用の土地や建物の売却・貸し付けも推進し、鳳駅や新金岡駅などの駅周辺では都市型住宅の供給、都心・中百舌鳥エリアでは業務系機能の集積を誘導する。
 22年2月または23年2月に示す財政収支見通しで、30年度までに収支均衡を図り、基金への依存から脱却した「真に健全な財政」を実現するため、21・22年度を“集中改革期間”と位置付けて取り組む。収支の確保を目指す項目には26項目を掲げ、30年度に概算で、52億円の収支改善効果を見込む。
 堺市財政危機脱却プラン(案)に盛り込まれた主な取り組みは次の通り。
【日高少年自然の家の廃止】
 利用者の減少、施設老朽化に伴う維持管理コストの増大などを踏まえて22年度に廃止。収支改善効果概算見込み額は5700万円
【八田荘老人ホーム、中老人福祉センターの民営化】
 22年度に両施設を併せて社会福祉法人に譲渡し、民営化する。中老人福祉センターでの民間事業者が行う事業の効果を検証し、他の老人福祉センターの在り方を検討する。収支改善効果概算見込み額は8700万円
【フォレストガーデンのさらなる活性化に向けた在り方の見直し】
 指定管理者制度を導入するフォレストガーデンについて、市民菜園だけではなく施設全体の活性化に向け、民間のノウハウを生かした施設として活用、エリアごとの維持管理経費を精査し、指定管理料の縮減を図る。22年度に実施し収支改善効果概算見込み額は600万円
【東文化会館駐車場の一部売却】
 東文化会館駐車場(建物5〜7階部分)の利用実績等を踏まえ、一部を売却、維持管理費の縮減を図る。21〜22年度に実施。収支改善効果概算見込み額は1000万円
【鉄道駅周辺への都市型住宅の供給促進】
 鳳・深井・北野田・新金岡・北花田駅周辺約800bの区域で、都市基盤の整備が完了しており、一定の要件を満たす開発行為などについて、建物の設計の自由度を高め、都市型住宅の開発を誘導、供給を促進する。21年度に概算で1億6700万円の収支改善効果を見込む。
【大規模団地や分譲マンションの建て替え促進】
 大規模団地・分譲マンションの建て替えを促進する。老朽化が進み権利者合意が得られにくい分譲マンションでは再開発手法を活用し、建て替えを促進する。21年度以降随時実施し、収支改善効果概算見込み額は1億1500万円
【都心・中百舌鳥エリアでの業務系機能の強化促進】
 都心・中百舌鳥エリアについて、総合設計制度の活用や都市計画変更による容積率の緩和により、オフィスなど業務系機能の集積を促進する。21年度以降随時実施し、収支改善効果概算見込み額は2000万円
【市街化調整区域内の保留区域の市街化区域への編入】
 市街化調整区域のうち、黒山地区(縁辺部)・北野田駅周辺地区、白鷺駅周辺地区について、随時、市街化区域に編入する。22年度以降随時実施し、収支改善効果概算見込み額は5000万円
【市街化調整区域の幹線道路沿道への産業系機能の立地誘導】
 幹線道路沿道の市街化調整区域で沿道開発の対象エリアの拡大などを図り、産業系機能の立地を誘導する。21年度以降随時実施し、収支改善効果概算見込み額は1800万円

提供:建通新聞社