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建通新聞社(神奈川)
2021/11/19

【神奈川】横須賀市 機能再編・強化へ横須賀港長期構想案

 横須賀市は、横須賀港の20〜30年後を見通した「横須賀港長期構想(案)」をまとめ、今後の港湾整備の在り方を示した。外内貿物流機能の再編・強化、バルク物流機能の集約・効率化、大型プレジャーボートの拠点形成など9つの施策を挙げ、大型の自動車専用運搬船や大型化する冷凍マグロ運搬船に対応する「新規ふ頭」を整備し、新港地区からの機能の移転・強化を検討するなどとした。「新規ふ頭」への既存貨物の移転後は、新港ふ頭を内航フェリー中心の利用に転換することを検討。浦賀地区にはビジターバースの整備を検討し、大型のプレジャーボート受け入れ機能の強化を図る。
 長期構想(案)は、「首都圏港湾機能の一翼を担うみなと」を目指すことを基本理念に据え、分野別の施策と取り組み内容を示している。取り組み時期は、短期(〜10年)、中期(10〜15年)、長期(15年〜)の3段階に設定した。例えば、「完成自動車輸送機能の強化」「輸入水産品受け入れ機能の強化」「内航フェリー輸送の強化」「大型のプレジャーボート受け入れ機能の強化」の取り組み時期は短期・中期。「バルク貨物取り扱いふ頭の集約・再編」は中期・長期としている。
 現在、横須賀港の新港ふ頭は完成自動車の輸送拠点となっているが、水深不足のため自動車専用船を満載することができていない。そこで、大型の自動車専用船に対応する新規ふ頭の整備を進め、完成自動車の輸送機を移転・強化する。新規ふ頭は、新港ふ頭の東側に隣接する場所に整備する方向で検討を進める。
 また、新港ふ頭は冷凍マグロの取扱量が全国4位となっているが、冷凍マグロ運搬船の大型化により係留施設が限定されている。このため、新規ふ頭に輸入水産品の受け入れ機能を移転し強化することを検討する。整備する新規ふ頭へ新港地区にある既存貨物を移転させ、新港ふ頭を内航フェリー中心の利用へと転換していくとともに、併せて物流施設などの誘致も検討する。
 一方、横須賀港の複数の地区で取り扱っている砂利・砂などのバルク貨物については、荷役の効率化や周辺環境との調和を考えて、集約・再編を図る。具体的には、久里浜地区長瀬や長浦地区に係留施設を整備し、バルク貨物機能の移転・集約させることを検討する。必要に応じて既定の計画を見直し沖合展開により用地を拡幅する。
 浦賀地区では、寄港要請のある大型プレジャーボートなどに対応するため、ビジターバースの整備を検討。プレジャーボートでの来航が可能な「海の駅」のような利用について、地元民間企業などと連携しながら検討する。
 大規模地震に備えては、耐震強化岸壁の整備に取り組む。横須賀港は沿岸の道路の急傾斜地やトンネルが多く、大規模災害時に地区間が一時的に寸断される可能性が高いことから、適切な整備場所を検討する。また、幹線物流を継続させるための耐震化も検討する。
 この他、社会経済情勢の変化などにより、利用率が低下した施設や老朽化した施設が多いことから、「既存ストックの利用転換・再編」にも取り組む。老朽化施設については、機能不足の改善、大規模な修繕によって、港湾活動が停滞することがないように代替えとなる不荷役施設への利用転換や、新たなふ頭計画による既存施設の再編など既存ストックの統廃合と有効活用を検討する。
 横須賀市では、現行の港湾計画が改訂からおおむね15年経過し、社会経済情勢や港の利用状況に変化が生じていることから、港湾計画の改訂に向けて検討中。長期構想の前半分の取り組みを港湾計画に落とし込んで改訂することにしている。 提供:建通新聞社