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建通新聞社(神奈川)
2021/12/06

【神奈川】川崎市 22年度末から電子契約導入

 川崎市は、契約課契約案件について、2022年度末に電子契約を導入する方針だ。民間の電子契約サービスを利用して電子契約を導入することで、事業者が市役所を訪れなくても契約行為が可能になる環境を構築する。工事請負契約や建設コンサルタント業務など委託契約も対象となる。22年度末に入札手続きを行い、23年度初めに契約する「早期契約案件」から適用する予定。契約課契約案件の電子契約の状況を見ながら、各部署で締結している「自所属契約」にも電子契約を拡大し、25年度の全庁への適用を目指す。22年度からスタートする「川崎市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進プラン」の(素案)に重点取組事項の一つとして盛り込んでいる。
 川崎市では現在、契約事務で契約当事者が記名押印する「紙の契約書」を作成している。20年度に契約課が扱った契約案件(契約管理システムを利用した件数)は、工事が648件、委託が400件、物品が4912件。各部署で実施する「自所属契約」は工事が2389件、委託が4321件、物品が5万7377件。
 「紙の契約書」の場合、@契約書の作成・押印や持参・郵便などの作業があり効果的・効率的な事務所を阻害しているA契約書の作成に伴う「印紙税」や提出・返却にかかる郵送料・交通費が発生するB契約書の文書保管スペースを確保する負担と、災害時に契約書の破損の危険性がある―といった課題がある。21年1月の法改正により自治体でも、民間事業者が提供する電子署名の仕組みを使った「電子契約」が利用可能になったことから、川崎市は課題解消のため電子契約を導入することにした。
 川崎市では、今年7月から民間事業者のサービスを利用した実証実験を行うともに、先行自治体の事例や民間事業者のサービス状況を調査した。今後は、セキュリティーを確保し、電子契約を行う環境を整えるとともに、規則などの制度改正、運用整備、庁内研修を行うなどして、電子契約導入の準備を進める。円滑に導入が進められるよう、事業者向けにもマニュアルなどを作成し、説明を行う考え。電子契約導入後も、電子契約の実施が難しい事業者については、現行通り紙の契約書となる。
 「川崎市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進プラン」(素案)では、中小企業のデジタル化支援、官民データ連携(オープンデータなど)の推進などを打ち出している。市内中小企業のデジタル化やICTの活用などを支援し、経営資源の最適化、幅広い業種の生産性向上を促す。また、公共データを2次利用可能な形で原則公開し、活用してもらうことで民間サービスやビジネスの創出につなげる。提供:建通新聞社