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建通新聞社(中部)
2021/12/08

【愛知】名市 山崎水処理C改築・増設を先行整備へ

 名古屋市上下水道局は12月7日、市内15カ所の水処理センターを4グループに分け、集約・ネットワーク化する再構築方針を明らかにした。山崎水処理センターなどの中南部グループを先行して整備していく考えだ。北部グループでは、長く未整備状態が続いていた平田水処理センターを新設する方針も明らかにし、グループ内で適切に処理できる体制を構築する。
 4グループは▽中南部グループ(堀留、熱田、伝馬町、山崎、柴田)▽北部グループ(守山、平田)▽西部グループ(名城、岩塚、露橋、打出、千年、宝神)▽東部グループ(西山、植田、鳴海)―に分ける(現在稼働中の水処理センターは15カ所)。
 中南部グループは、建設から90年を超えている熱田水処理センターの他、都心部立地で上部空間の利活用が検討されている堀留水処理センターがあるため、先行して整備を進めることにした。最下流域に位置する、山崎水処理センターの改築、増設により、堀留水処理センターと熱田水処理センターの集約化を行い、その後、伝馬町水処理センターの集約を進める方針だ。
 山崎水処理センターの敷地内にある汚泥処理施設は、空見スラッジリサイクルセンター第2期焼却施設の稼働後、廃止予定にあるため、同跡地を施設整備用地に活用する。最終的に中南部グループは、山崎、柴田両水処理センターの2カ所に集約する。山崎、柴田水処理センターの敷地は、それぞれ7・56fと7・91f。この他、柴田水処理センターの将来の改築に合わせて、山崎水処理センターとのネットワーク化も検討する。廃止となる堀留、熱田、伝馬町の雨水排水は、現位置で継続する。
 当面の整備としては、山崎水処理センターの改築、増設と、堀留〜山崎水処理センター間の汚水送水管の整備を実施する方針。堀留〜山崎間の汚水送水管は、都心部のまちづくりと連動しているため、早期の着手を目指す。山崎水処理センターの改築、増設は、空見スラッジリサイクルセンター第2期事業の焼却施設が完成する26年度の事業着手を見込んでいる。
 市内の水処理センターは、昭和30〜50年代に集中整備されており、今後一斉に改築時期を迎える。また、人口が名古屋市より多い多い横浜市(11カ所)、大阪市(12カ所)と比べて、水処理センター数が多く、処理能力も中小規模の水処理センターの比率が高い。人口減少社会において、持続可能な水処理システムを確保するため、集約・ネットワーク化を図ることとした。
 22年に供用開始110年を迎える下水道事業が100年後も安定的に事業を継続していくため、再構築に向けた基本方針では▽水処理センターのグループ化▽水処理センターの最適化▽水処理センター間のネットワーク化▽水処理センターの価値の向上―の4点を挙げた。
 四つのグループは、河川や地盤高、現在の処理区域などを踏まえて分けている。災害時や将来的な改築時の処理を円滑に進めるため、集約化を行うものの、グループ内で水処理センターは複数箇所に配置。集約化する場合も雨水排水は現位置とし、当該地域の排水は速やかにできるようにする。水処理センターの改築に際しては、高度処理や省エネルギー設備の導入、耐震化・耐水化などの機能向上を目指すとした。また、水処理センターの持つ資産・資源を有効活用して、まちづくり、環境、防災などの観点から役割、価値の創出を図る方針だ。
 新設する平田水処理センター(西区丸野2丁目)の敷地には、土壌汚染地が敷地全域に渡って存在していることが分かっている。同局によると、汚染度が高い箇所は掘削除去の必要があるが、低い箇所は別方法での除去も可能とする有識者の意見があるという。土壌汚染は敷地全域で、汚染度が高い箇所や低い箇所、地下の浅い箇所、深い箇所に混在。22年度以降に除去方法の詳細を固め、土壌汚染対策工を進める見通しだ。土壌汚染対策が完了後、水処理センター整備に着手するため、事業着手時期は未定としている。


提供:建通新聞社