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北陸工業新聞社
2021/12/14

【石川】建て替えを本格検討へ/築48年の金沢エムザ、一部未耐震で/金沢丸越百貨店/熱田社長が地権者に提案

 「建て替えか、耐震工事か」。金沢市武蔵町の百貨店「金沢エムザ」を運営する金沢丸越百貨店(熱田隆明代表取締役社長)が、築48年を経過するビル施設の建て替えを本格検討することが明らかになった。昭和の経済成長期に建てられたビルは、長年の使用で老朽化が進み、毎年、多額の修繕費が掛かっている。一部、現行の耐震基準を満たしていない施設もあり、今後どう対処するのか注目される。
 金沢エムザは、地上18階地下2階建ての金沢スカイビル(A〜C棟、延床面積6万3566平方メートル)と、地上6階地下1階建ての金沢ニュースカイビル(D棟、同1万623平方メートル)で構成する。
 施設はともに、市施行による市街地再開発事業で建設され、それぞれ1973(昭和48)年、81(同56)年に開業。高さ69メートルのスカイビルは当時、金沢で最も高い建物だった。
 現在、A棟には「金沢信用金庫武蔵支店」などの事務所が入り、B棟では百貨店と「ANAホリディ・金沢スカイ」のホテルが営業。C棟は百貨店、D棟は金沢市の施設「ITビジネスプラザ武蔵」などが入居している。地権者は百貨店のほか、市などを含め20数名。
 このうちC、D棟が現行の耐震基準を満たしておらず、市などが耐震診断義務付け建築物(要緊急安全確認大規模建築物)として2017年からホームページで公表。その後、耐震調査は行われたが、耐震工事には10数億円を要することから、先送りとなっていた。最も規模が大きいB棟は、当時の設計者が独自に安全性を確認し、国に届け出ている。
 金沢スカイビル管理組合の石野弘幸事務局長によると、先月29日に開かれた臨時総会で、組合代表の熱田社長が新たに建て替えを選択肢として検討することを提案。これに対し、地権者から反対意見は出なかったという。引き続き耐震工事の検討も進める。
 石野事務局長は、「再整備の検討にようやく真正面から向き合うことになった」と話し、今後は整備手法や工事費、着工スケジュールなどで「地権者の合意形成を図っていくことになるだろう」とコメント。「まだスタートラインに立ったばかり」とし、耐震、建て替え工事のいずれにせよ、莫大な工事費が見込まれるため事業の長期化も想定している。
 エムザは今年3月末、ディスカウントスーパーのヒーロー(茨城県)が名古屋鉄道(名古屋市)から旧金沢名鉄丸越百貨店の全株式を取得。親会社の移行に伴い、4月1日に店名を「めいてつ・エムザ」から「金沢エムザ」に変更した。

hokuriku