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建設経済新聞社
2022/01/12

【京都】城陽橋など2事業を再評価 1月19日に公共事業評価第三者委開催

 京都府は7日、19日開催の公共事業評価に係る第三者委員会(委員長・多々納裕一京都大学防災研究所教授)で審議する令和3年度の対象事業として、ともに再評価の2事業を発表した。
 一般国道307号(市辺〜奈島)道路整備事業は、平成29年度に事前評価したもので再評価を行う。
 国道307号の城陽市市辺〜奈島地区は、西日本高速道路梶iNEXCO西日本)が整備を進める新名神高速道路の宇治田原インターチェンジ(IC。仮称)に直結する区間であり、日当たり交通量が約1万7000台(平成27年センサス)と非常に多く、大型車混入率(29%)も高いにも関わらず、幅員狭小でカーブが連続する線形不良により大型車の離合が困難な状況にあり、歩道も未整備であることから、当該区間の現道拡幅及びバイパス化及び歩道整備を実施し、歩行者及び通行車両の安全性を確保するとともに、城陽市が東部丘陵地で進めるまちづくりへのアクセス強化し地域振興の促進を図るもの。
 延長はL1300m。幅員は2車線区間(約900m)がW10・5mで片側歩道、4車線区間(延長約400m)が19・0mで片側自歩道。計画交通量は1万5300〜2万3000台/日(令和12年予測交通量)。道路区分は第3種第2級。
 進捗状況によると、平成30年度に着手し測量・設計と用地買収を進め、平成31年度・令和元年度も用地買収を進める一方、道路築造工事に着手。令和2・3年度も用地買収、道路築造工事を進めている。
 全体事業費は19億円(うち用地補償費7億5000万円)。令和3年度末までの投資事業費(見込み)は13億2000万円で進捗率69%で、うち用地補償費は7億円で進捗率93%。
 事業の進捗に伴い、状況変化に対応するため、全体事業費は事前評価時の15億9000万円から約3億1000万円増の19億円となる見通し。
 事業費増の要因は、▽交通安全施設の追加(公安委員会との交差点協議を踏まえ、4車線整備区間においては、周辺開発からの発生集中交通やインターチェンジの流出入交通を円滑に誘導するため、門型標識やガードレール等の安全施設を追加)約8000万円増▽法面植生工の変更(法面工事の実施に伴い、掘削面の硬度試験等を実施した結果、当初想定していた植生工(客土吹付)の適用条件を満たさないことが判明したため、植生基材吹付に変更)約5000万円増▽補償費用の追加(京都府無電柱化推進計画(令和元年12月)の策定により、当該工区が「道路事業に合わせた占用制限」の指定路線となったことを踏まえ、拡幅に伴う電気設備等の移設先を道路区域外とすることに伴う補償費用を追加)約5000万円増▽道路横断部の排水施設の追加(当初計画では、既設水路を利用して道路排水を処理する計画としていたが、詳細に検討したところ、流下能力が不足することが判明し、新たに道路排水路を設置する必要が生じた。また道路計画高が上がったことにより、既設水路については、土圧の増大による強度不足が生じることが判明したため、道路排水路とは別に現況の排水機能を確保する補償工事を追加)約1億3000万円増。
 事業費の投資効果について、費用便益比(B/C)を算出。平成29年度の事前評価時の総便益(B)62億7000万円/総費用(C)13億7000万円でB/Cは4・6としていたが、今回は(B)69億2000万円/(C)18億8000万円でB/Cは3・7と算出した。残事業は6億3000万円。
 今後の事業見込みについて、用地買収は概ね完了しており、令和3年度末では事業の進捗率が約69%となる見込み。大規模構造物もないこと等から、令和5年度の開通に向けて引き続き事業進捗を図る。
 コスト縮減の可能性については、「切土により発生する建設発生土は、現場内や他工事の盛土に使用することで有効活用を図る」を挙げた。
 代替案の可能性については「用地買収が概ね完了しており、事業も約69%(令和3年度末)まで進捗していることから、現時点におけるルート変更は現実的でない」とした。
 公共事業評価に係る第三者委には、総合評価として「事業を継続する必要がある」とする府の方針を示す考え。
      ◇      
 一般府道山城総合運動公園城陽線(城陽橋)道路整備事業は、平成30年度に事前評価したもので再評価を行う。
 山城総合運動公園城陽線は、宇治市を起点とし、城陽市の国道24号に至る道路で、NEXCO西日本が進める新名神の城陽ICと東部丘陵地や宇治市街地を結ぶ区間の一部。2車線の事業区間(城陽市富野)を4車線化することで、新名神の全線開通の効果を最大限発揮する4車線の道路軸を構築し、東部丘陵地などの周辺開発を支援する。
 延長はL700m。幅員はW18m(4車線)で片側歩道。既設橋がW10・50m(3・25m×2車線、路肩0・50m、路肩1・00m、片側歩道2・50m)、事業区間(新設橋)がW7・50m(3・25m×2車線、路肩0・50m×2)。
 計画交通量は2万台/日(令和12年予測交通量)。道路区分は第4種第1級。
 進捗状況によると、平成31年度・令和元年度に着手し測量・設計と用地買収、橋梁下部工を進め、令和2・3年度も用地買収、橋梁下部工と、橋梁上部工を進めている。
 全体事業費は56億円(うち用地補償費2億円)。令和3年度末までの投資事業費(見込み)は24億4000万円で進捗率44%で、うち用地補償費は1億7000万円で進捗率85%。
 事業の進捗に伴い、以下の状況変化に対応するため、全体事業費は、事前評価時の40億円から約16億円増の56億円となる見通し。
 事業費増の要因は、▽橋梁点検用常設足場の追加(平成26年の道路法施行規則改正以降、橋梁等の道路構造物点検が義務化される中、鉄道上空の橋梁点検は、営業線に影響がでない時間帯や電線との離隔など制約条件が多く、加えて、交通量が非常に多い国道24号、区分地条件が設定された民地を跨ぐ区間が連続することから、関係機関及び地権者との協議を行い、点検のみならず修繕工事も含めた維持管理の確実性、効率性、即応性を高めるため、橋梁点検用常設足場を設置することとなり、その費用が追加となる)約3億円増▽JR奈良線及び国道24号跨線部における架設方法の変更(事業着手前のNEXCOとの工程調整では、新名神高架部に先行して新設橋を架設する計画としており、大型クレーン架設工法としていたが、事業着手後に
NEXCOとの詳細な工程調整を実施した結果、新名神高架部を先行して架設する必要が生じた。このため、新設橋においては高架下でも施工可能な送り出し架設工法に変更し、その費用が増加)約13億円増。
 事業費の投資効果について、費用便益比(B/C)を算出。平成30年度の事前評価時の(B)37億5000万円/(C)33億2000万円でB/Cは1・1としていたが、今回は(B)66億3000万円/(C)50億4000万円でB/Cは1・3と算出した。残事業は27億1000万円。
 今後の事業見込みについて、用地買収については概ね完了しており、橋梁上下部工を発注し令和3年度末では事業の進ちょく率が約44%となる見込み。橋梁架設計画の見直しなど、事業費が増大しているが、早期完成に向けて引き続き事業進捗を図る。
 コスト縮減の可能性については「残土について他の公共事業への流用による事業費削減を検討するなど、引き続きコスト縮減を図っていく」を挙げた。
 代替案の可能性については「用地買収が概ね完了しており、事業も約44%(令和3年度末)まで進捗していることから、現時点におけるルート変更は現実的でない」とした。
 公共事業評価に係る第三者委には、総合評価として「事業を継続する必要がある」とする府の方針を示す考え。