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日本工業経済新聞社(群馬)
2022/02/07

【群馬】草津町の黒岩町長、4期目スタートインタビュー

草津町長選の投開票が1月23日に行われ、現職の黒岩忠信町長が4選を果たした。黒岩町長はこれまでの3期12年で、草津温泉のブランド力向上を意識した、まちづくり事業に注力。入り込み客数増加や財政健全化などの実績が高く評価され、他の候補を圧倒する形で当選を果たした。町の歴史を振り返っても4期目に及ぶ長期政権は初となる。長年の懸案事項であった国道292号の立体交差および温泉門整備を最重要課題とし、自身の町政における集大成にする意気込みだ。選挙戦を終えたばかりの黒岩町長に話を聞いた。
選挙戦について尋ねると、これまでの選挙は、有権者が2つの派閥に分かれることが多かったという。一方で今回の選挙は「オール草津で応援していただき、他の候補者と圧倒的な差をつけて当選することができた」と振り返る。要因について「3期12年で行ってきたまちづくり事業の実績が評価された」と分析している。
実際に、黒岩町長が就任してからの入り込み客数は、右肩上がりの増加傾向となっている。2019年には過去最高となる328万人を達成。これに呼応するように、財政の健全化も進んだ。就任当初、約58億円あった起債は約32億円まで減少。対して、財政調整基金の残高は約28億円から約77億円に増加した。
就任当初、町の財政は全国各地にある温泉街と同じく、大変厳しい状況だった。そうした中、黒岩町長はハード事業へ惜しみなく投資する決断を下した。周囲から財政を心配する声が上がるも「経済効果をもたらす具体的なビジョンがあったため、投資に対する回収には自信があった」という。旅館関係者が歴代町長を務める中、黒岩町長は「商人」出身。費用対効果への意識は人一倍強いことが伺える。
その後も強力なリーダーシップを発揮し、スピード感を持ってまちづくり事業を進めてきた。草津温泉を象徴する湯畑周辺の整備をはじめ、西の河原関連事業など観光資源に磨きを掛けた。18年度に着手した地蔵の湯周辺の「裏草津」エリア整備事業は大詰めを迎えている。
公共事業による町の変化は、町民の意識にも影響を与えた。民間事業者へ助成金を交付して行う施設の修景事業は、11年度から115件を数えており、官民で一体感のある温泉街を創出してきた。テンポよく展開される施設整備は、飽きさせることなく観光客を魅了し、リピート率を高めている。
今後の抱負について聞くと「町長のキャリアの集大成として、町の玄関口となる道路における立体交差および温泉門の整備構想を進める」と力強く答える。約100台分の無料駐車場を町の入り口に整備し、新設する温泉門をくぐり、湯畑周辺までの散策を促す。同時に、国道292号の一部を町道指定した上で立体交差する形へ改良することで一時停止による渋滞解消と、散策ルート沿線の活性化を図る。こういったまちづくり事業は「100年先をイメージして取り組んでおり、引退した後も町の財産として、経済効果を生み続ける」と力説する。
地元を中心とする建設業については「ハード整備を進める上で欠かすことができない」との認識を示している。さらに豪雪地帯であることから「除雪活動でも力を借りているところ。災害対応など重要な役割を担っている存在であり、今後も良きパートナーとして協力していきたい」と思いを語った。