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建設経済新聞社
2022/02/09

【京都】都市の成長戦略リーディングプロジェクト 商業・業務施設を延120万u増 令和15年度までに実現目指す

 京都市が令和4年度当初予算案で重点施策の一つに掲げる「都市の成長戦略の推進 〜進化する戦略〜」について、主な内容をみると、都市の魅力や活力を市民の豊かさにつなげ、人と企業に選ばれる好循環を図るとし、新たな価値を創造する中長期的な都市のあり様を「5つの都市デザイン」(▽若い世代に選ばれる千年都市▽文化と経済の好循環を創出する都市▽持続可能性を追求する環境・グローバル都市▽「知」が集うオープン・イノベーション都市▽伝統と先端が融合するデジタル創造都市)として描き、その実現を目指す。
 令和4年度は、都市の成長戦略の基盤づくりの一年とし、7つのリーディング・チャレンジ(@京都の求心力を受け止める空間づくりプロジェクトA京都アート・エコシステム実現プロジェクトB「持続可能な京都観光」推進プロジェクトCESG投融資を呼び込むプロジェクトD「木の文化都市・京都」として人や投資を呼び込むプロジェクトE京都市の特性・強みを活かした、公民連携による企業誘致プロジェクトF京都デジタル文化・経済圏創出プロジェクト)を推進する。
 京都の求心力を受け止める空間づくりプロジェクトでは、都市計画手法をはじめ、あらゆる手法を総動員し、低未利用地の活用や既存の土地利用転換に際し、オフィスや製造拠点、研究開発施設、住宅などの立地を誘導するとともに、まちなかや駅などの公共交通拠点周辺にある既存ストックを最大限に活用し、令和15年度までに商業・業務施設の延床面積120万u増の実現を目指す。
 具体策として、若者・子育て世帯の移住や定住を実現する施策では、@新規空間(グリーンフィールド)の創出(▽地域ごとの特性を踏まえた都市計画上の方策の具体化▽市有地の有効活用▽市街化調整区域における住宅立地基準の拡大(条例化)など)、A既存空間(ブラウンフィールド)の更なる活用(▽空き家をはじめとする非居住住宅の有効活用▽路地空間の再生▽風致地区における狭小敷地の活用促進▽中古マンションの流通促進▽市営住宅を活用した学生などの市内居住▽団地再生、ニュータウンの活性化など)、B住情報発信の強化(▽既存住宅の利活用等に関する事業者の選定支援制度の構築▽企業や大学等と連携したすまい探しに関する相談会の実施など)を挙げ、働く場の創出では、▽地域ごとの特性を踏まえた都市計画上の方策の具体化▽市有地の有効活用▽学術文化・交流・創造ゾーンの活用▽都市再生緊急整備地域の有効活用▽「京町家オフィス」の創出・振興▽市街化調整区域における産業用地の創出などを挙げた。
 令和4年度関連予算案は、駅周辺等にふさわしい都市機能検討委員会の運営231万9000円、空き家対策推進事業7836万6000円、路地空間の再生510万円(路地等に面する既存住宅の改修、建替え及び流通促進事業など)、中古マンションの流通促進27万8000円、市営住宅を活用した学生などの居住促進800万円、ニュータウンの活性化に係る取組の推進1279万3000円、「京町家オフィス」の創出・振興200万円、産業用地創出促進制度に債務負担行為設定など。このほか、非居住住宅の活用を促すため、「非居住住宅利活用促進税」の導入に向け取組を進める。
 環境・社会・企業統治の課題に配慮するESG投融資を呼び込むプロジェクトでは、「令和15年度までに京都へのESG投融資件数を10倍」を目標に掲げた。
 具体策の主なものは、▽ESG投融資を呼び込むファーストステップとしてグローバルなESG投資目線に適う「京都市グリーンボンド」の発行▽金融機関等と連携したグリーンファイナンスの普及促進▽2030年(令和12年)までに先行して脱炭素を実現するモデル地域の創出として「脱炭素先行地域」を創出▽事業者や金融機関等と連携して地域の脱炭素に取り組む「京都脱炭素地域推進コンソーシアム(仮称)」の設置▽脱炭素型ライフスタイルへの転換を促進するプロジェクトの創出・実証を支援▽市内企業の脱炭素化や地域経済の振興にもつながる再エネの地産地消と環境価値の地域循環を推進など。
 令和4年度関連予算案は、京都市脱炭素地域創出促進事業2000万円、脱炭素ライフスタイル推進事業2360万円、住宅の再エネ地産地消・地域循環推進事業6000万円など。
 「木の文化都市・京都」として人や投資を呼び込むプロジェクトでは、「令和15年に市内産木材産出額7億7000万円」を目標に掲げた。
 具体策の主なものは、多様な木材サプライチェーンの構築で、▽戸建て住宅や中高層建築物など、建築のニーズに合った木材を供給するサプライチェーンの構築▽木材の高付加価値化・高品質化に資する加工流通施設の整備支援等▽長期的に森林経営管理を担う人材の育成。
 京都市版ウッドチェンジの推進(全市的な木造・木質化の誘導)で、▽公共建築物の木造・木質化の推進▽木造・木質化相談窓口の設置、京都市版ウッドチェンジ推進会議(仮称)の創設▽戸建てやマンション、オフィスビル、子育て施設、福祉施設、木塀など建築物等の用途に応じた木造・木質化の支援(市内産木材の利用助成等)▽建築基準法上の制度運用の工夫や都市計画手法による木造・木質化の後押し▽森林を利活用するスタートアップを支援する仕組みの創設など。
 主な令和4年度関連予算案は、木の文化推進事業3690万1000円(市内産木材を使った京のまちなみ推進事業、ウッドチェンジ推進事業、森林の応援団づくり事業)、森林経営管理人材育成事業940万円など。