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新建新聞社
2022/02/16

【長野】2022当初予算案1兆0848億円余

投資的経費1535億円で前年度比86億円(5.3%)減
 県は2022(令和4)年度当初予算案を2月9日ウェブ開催による部局長会議で決定した。予算規模は一般会計1兆0848億9672.4万円で前年度当初に比べ425億6604.9万円(4.1%)の増加となった。2月16日開催の県議会2月定例会に提案する。21(令和3)年度1月補正予算885億5932.5万円を加えた「15カ月予算」の総額は1兆1734億5604.9万円になる。
 予算編成の考え方としては、最終年度を迎える「しあわせ信州創造プラン2.0」の総仕上げを図るとともに、コロナ禍や自然災害等による基盤が揺らいでいる「確かな暮らし」を守る施策、脱炭素社会の構築など中長期的な課題に挑戦する施策など、重点テーマを6つ掲げ、21年度1月補正予算と一体的に編成したという。
 投資的経費の状況を見ると1535億円で前年度当初の1621億円に比べ86億円(5.3%)の減。内訳は、公共事業(補助・県単独・直轄・災害復旧)が1267億円で前年度当初の1324億円に比べ57億円(4.3%)の減。施設整備等は268億円で前年度当初の296億円に比べ28億円(9.5%)の減となった。
 21年度1月補正(511億円)と一体的に推進する例として◇県庁舎等省エネ改修・災害拠点施設浸水対策・中長期修繕改修として50.0億円(「21年度当初+20年度2月補正」比で13.6億円増)◇県立高校・特別支援学校の学習環境整備に19.5億円(同8.0億円増)◇特別支援学校スクールバス整備に1.3億円(同1.1億円増)をあげた。(別途、関連記事)

2022当初予算案の主要施策
防災・減災対策962億円余
 県2022(令和4)年度当初予算案から主要施策をみてみると、災害に強い県づくりとしては、19(令和元)年東日本台風災害からの復旧・復興に97億5564.9万円(前年度当初190億0465.4万円)を充て河川・砂防・治山施設等の復旧を進めるほか、21(令和3)年8月・9月大雨災害からの復旧・復興に43億2423万円を計上して河川や林道等の復旧、砂防・治山施設等の設置により再度災害防止対策を強化。大雨災害で一部不通となっているアルピコ交通上高地線の早期復旧を図るため橋梁復旧費用を助成する。
 防災・減災対策には962億2049.4万円(542億8288.6万円)、通学路緊急交通安全対策等に30億6903.4万円(12億8670.9万円)。河川整備に297億0579.5万円(247億0751.8万円)、流域での雨水貯留等に81億4465.3万円(83億3376.9万円)、浸水想定区域図作成等に7億2228.4万円(8億9307.5万円)を予定している。
 脱炭素社会の構築としてはEV(電気自動車)の利用環境整備として3億4027.1万円(3706.4万円)を計上し道の駅や幹線道路の空白区間の急速充電設備設置を支援(20カ所)、公用車のEV化を推進(23台→56台)し、松本合同庁舎に充電設備を整備する。
 「信州健康ゼロエネ住宅」の普及に3億4566.4万円(2億0418.6万円)を計上し助成金を創設。県有施設のゼロエネルギー化に48億3281.7万円(64億8030.4万円)を盛り、交番・駐在所、県営住宅、高等学校、特別支援学校のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化等を推進。県有施設の消費エネルギーの削減を図るため県庁や諏訪湖環境研究センター(仮称)等のゼロエネ改修に着手。県有施設への太陽光発電設備の設置を進めるため新規に可能性調査や実施設計、設置工事を実施する。
 創エネ(太陽光発電・小水力発電)の推進に76億5983.8万円(51億7161.5万円)。「信州の屋根ソーラー」の普及を加速するため住宅への太陽光発電・蓄電池設備の導入を支援、再生可能エネルギーの供給拡大のため水力発電所の新規建設・基幹発電所の大規模改修を推進する。
 学校環境の整備には24億3105.5万円(14億9122.4万円)を予定。県立高校統合新校(第2期再編)、松本養護学校、若槻養護学校については、ZEBや探究的な学びのための学習空間デザインを取り入れた学校施設整備を進める基本計画を策定する。

◎予算編成の基盤となる重点6テーマ○
【1、新型コロナから県民の命を守り暮らしと産業を支える】
 新たな変異株や次なる感染の波に備えるため、ワクチン接種体制の整備や療養・検査体制の確保を進めるとともに、暮らしの支援の充実、県内経済の下支え、雇用の確保等に取り組む
【2、災害に強い県づくり】
 度重なる災害からの復旧・復興を着実に進めるとともに、災害の教訓を活かした防災・減災対策や「逃げ遅れゼロ」等の推進により県民の安全・安心な暮らしを守る
【3、産業・暮らしのコロナ禍からの復興】
 地方回帰やデジタル化の動きを捉え、信州回帰プロジェクトや長野県DX戦略を推進するほか、企業等の積極的な事業展開への支援や海外等との未来志向の交流を充実し、人と企業に選ばれ、活力ある信州を実現
【4、脱炭素社会の構築】
 多様な主体の力の結集により長野県ゼロカーボン戦略の目標を達成するため、地球温暖化対策条例を改正するとともに、交通、建物、再生可能エネルギー等の各重点分野の支援策を拡充し、脱炭素・地球温暖化対策を本格化
【5、誰一人取り残さない公正な社会づくり】
 全ての県民が明日への希望を持ち、安心して暮らすことができるよう、誰もがお互いの違いを認め合う共生社会の実現や、犯罪被害者等を支援する体制の整備、若者・子育て世代の希望を実現できる環境づくり、看護職員をはじめとする現場で働く方々の処遇改善等を推進
【6、誰もが主体的に学び続けられる社会づくり】
 子どもから大人まで全ての県民が主体的に学び、個々の持つ能力を社会の中で発揮できるよう、創造力を育むための学びの環境や、時代に適応する能力を身に付けられるリカレント教育・リスキリングを充実

提供:新建新聞社