トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(神奈川)
2022/03/24

【神奈川】2022年地価公示 県内変動率上昇へ転換

 神奈川県は2022年地価公示を公表した。県内の用途別平均変動率を見ると、昨年8年ぶりに下落に転じた住宅地では前年のマイナス0・6%から0・2%と上昇に転じた。保土ケ谷区や磯子区など18市区町で下落から上昇し、鶴見区や南区など4市区で横ばいから上昇に変わった。継続地点で上昇地点の占める割合が、前年の25・2%から49・5%に拡大している。また商業地では前年の0・1%から1%と10年連続で変動率が上昇した。磯子区や金沢区など12市区町で下落から上昇。茅ケ崎市など3市で横ばいから上昇へ変化した。工業地についても前年の1・8%から2・6%に上昇幅が拡大し、9年連続の上昇となった。全体的に回復傾向が見られ住宅地や工業地は好調に推移している。一方で、商業地は変動率が上昇しているものの、コロナ禍以前の水準に回復していないと指摘している。県内の調査地点は、住宅地1342地点、商業地361地点、工業地72地点、その他12地点の合計1787地点。調査は22年1月1日時点。
 
 =政令3市住宅地で平均変動率上昇=

 住宅地の平均変動率を政令市別に見ると、横浜市では全体で前年のマイナス0・2%から0・8%と上昇に転じた。前年に下落となった南西部においても、横ばいの金沢区を除き上昇するなど回復の傾向が見られる。
 川崎市は、変動率が前年の横ばいから0・6%の上昇となった。都内へのアクセスの優位性など人口増加も続くなど需要は堅調で、中原区と高津区の2区では1%超の上昇率を示している。
 また相模原市においても、市全体の変動率が前年のマイナス0・1%から0・8%に上昇。緑区の橋本駅周辺部では、堅調な住宅需要などを受け上昇傾向が継続している。
 政令市以外では、変動率が茅ケ崎市、逗子市、葉山町が1%以上の上昇となった他、鎌倉・藤沢・大和・伊勢原・海老名市の5市と寒川町が1%未満の上昇に転じた。
 
 =商業地の県内平均変動率の上昇幅拡大 川崎市は全区で上昇=
 
 商業地の県内平均変動率は、上昇地点の占める割合が前年の37・5%から71・1%に上昇した。横浜市の変動率は前年の0・5%から1・6%に上昇率が拡大。横浜駅周辺の市街地再開発事業よる商業施設の開業効果やオフィス街では賃料が安定しており、上昇基調を維持している。一方で、横浜中華街は市内唯一の下落地点であるものの、前年のマイナス10・3%からマイナス3・2%と下落幅は縮小している。
 個別地点では、県内上昇率の上位10地点に港南・神奈川・西・中・南区の5区6地点が入っている。
 川崎市の変動率は10年連続して全区で上昇を示し、全体では前年の0・8%から1・5%へ上昇率が拡大している。川崎駅周辺ではテレワークの普及に伴うオフィス移転などで空室率が上昇しているが、駅前については空室率が低く賃料への影響は見られないとしている。区ごとの上昇率を見ると、川崎・幸・中原・高津・宮前・麻生区の6区が1%以上の上昇幅を示している。
 相模原市では変動率が前年のマイナス0・6%から0・9%に上昇。橋本駅周辺地区では、リニア中央新幹線事業の進捗や駅周辺の整備発展、商業集積の充実などによる期待が高まっている他、将来的なマンション利用などを見据えた需要が地価の上昇要因と分析している。緑区では2%上昇し、中央・緑区の2区では1%未満の上昇となっている。

 =工業地の平均変動率 高速道路周辺で需要旺盛=

 工業地においては、継続地点のうち下落地点が無くなった。さがみ縦貫道路の関越自動車道や東北自動車道への接続、新東名高速道路の延伸、横浜環状北線や横浜環状北西線の開通といった高速道路網の整備などで、継続して周辺工業地の地価は堅調に上昇している。また、ネット通販関連の物流施設への需要も引き続き旺盛なことから、物流や倉庫施設の適地への需要増加が続いている。一方、工場や機械設備への投資の減退や個人消費の落ち込みなどが影響し、製造業系の工場地では、横ばいの動きとなっている地点も見られる。
 個別地点では、横浜市から鶴見・中区・神奈川の3区と厚木市の2地点の計5地点が県内上昇率の上位を占めている。 提供:建通新聞社