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西日本建設新聞社
2022/04/26

【熊本】熊本宣言採択「質の高い社会へ」 アジア・太平洋水サミット

 各国首脳や閣僚が水に関する様々な問題を議論する「第4回アジア・太平洋水サミット」が23日と24日の2日間、熊本城ホールで開催され、「質の高い社会」への変革を目指すとした熊本宣言を採択した。
 熊本市とアジア・太平洋水フォーラムの主催で、国内開催は2007年の第1回大会(大分県別府市)以来、15年ぶりとなった。今回のテーマは「持続可能な発展のための水〜実践と継承」。対象49カ国のうち、カンボジアやブータン、ツバルなど29カ国の首脳・閣僚が対面、オンライン、ビデオメッセージで参加した。
 開会式は、同フォーラムの森喜朗会長、岸田文雄首相、熊本市の大西一史市長らが挨拶。岸田首相は「この熊本からアジア太平洋地域の英知と決意を結集し、世界の水問題解決に向け大きく踏み出す好機だ」と述べた。国連のアントニオ・グテーレス事務総長はビデオメッセージを寄せた。天皇・皇后両陛下はオンラインで出席し、天皇陛下が「水を通じた全世界の人々の幸福と世界の平和に向けた大きな一歩となることを心から願う」と英語でスピーチされた。
 熊本宣言では、コロナ禍からの回復において、強靱性、持続可能性、包摂性を兼ね備えた質の高い社会への変革が必要と提起。持続的な水利用のための取組強化により実現可能だと結論付けた。取り組みの加速に向け、水分野でのハード・ソフトを統合した質の高いインフラ整備強化を、ガバナンス、ファイナンス、科学技術の3分野で変革・改善していくことを確認した。
 首脳級会合のほか、水と災害、水供給など9テーマの分科会、島嶼国による特別セッション、熊本宣言を受けたガバナンス・ファイナンス・科学技術の統合セッションなどがあり、水をテーマに意見を交わした。採択された熊本宣言は、23年の国連水会議で世界に発信される予定。

■全国さく井協が防災井戸紹介

 サミットにあわせサイドイベント(現地展示会)もあり、25の企業や団体が水をテーマにブースを開いた。全国さく井協会九州支部は、防災井戸を紹介した。災害等の停電時に手押し式ポンプで誰でも簡単に確実に綺麗な水が確保できるもので、熊本地震を機に注目され、肥後銀行や益城町、宇土市など熊本県内では59カ所に整備されている。九州支部の浜田俊幸理事と岩本龍博理事は「安心して水を利用できる社会づくりに向け、防災井戸の普及に努めていきたい」と話していた。
 九州地方整備局と八代河川国道事務所は、治水など水に関する取り組みや、球磨川流域の歴史・環境と令和2年7月豪雨災害、市民と連携した川づくりなどをパネル展示した。

提供:西日本建設新聞社
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