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建通新聞社(神奈川)
2022/05/13

【神奈川】三崎漁港で冷蔵施設や加工場を再編

 神奈川県は、東京湾、三浦半島・相模湾東部、相模湾西部の県内3圏域の総合水産基盤整備事業計画をまとめ、2022〜26年度の5年間に取り組む水産基盤整備の基本計画を示した。新規の目玉事業として、三崎漁港(三浦市)で老朽化する冷凍・冷蔵施設や荷さばき所の新設・改良、加工施設の集約・再編を進める。事業主体は三浦市で、本年度から検討に着手する。計画事業費は55億9800万円を見込む。
 三崎漁港では、超低温冷蔵庫と加工場を新設し、荷さばき所、超低温魚市場冷蔵庫を改良する。施設の規模はこれからの検討となり、耐震設計に加え、近年の水産物取扱量の推移や高度衛生管理を進める上で必要な機能を盛り込んだ規模とする。荷さばき所は、清浄な海水の取水・排水施設、水産物の保管に適した温度調整が可能な機能、荷さばき所・陸揚げ岸壁への人や車が出入場する際の洗浄施設、水産物の計測・計量施設などの導入を検討する。
 農林水産省が三崎漁港の「特定漁港漁場整備事業計画書(案)」をまとめており、県や市と協議して今後、正式に計画を策定する。

〜30年度の完了目指し検討着手〜

 計画の策定を受けて事業主体となる三浦市は、具体的な検討に着手、段階的に整備を進めて30年度の完了を目指す。22年度当初予算に「市場高度衛生管理化対策事業」を盛り、超低温冷蔵庫などの整備工事を行うための詳細設計に入る予定だ。
 三浦半島の先端にある三崎漁港は1960年に特定第3種漁港に指定され、全国有数の水産物流通拠点基地として整備を進めてきた。2018年に冷凍マグロを扱う三浦市低温卸売市場、21年に活魚・鮮魚を扱う三浦市沿岸卸売市場が稼働。首都圏を中心とする消費地への水産物、水産加工品の供給基地としての役割を担う。
 近年の水産物の国際競争力の高まり、消費者ニーズの高まりなど水産業を取り巻く環境変化に対応するため、生産性の向上や衛生管理体制の構築に向けた取り組みが進められてきた。一方で、衛生管理対策が未実施の荷さばき所がある他、老朽化し衛生管理体制の維持が難しくなっている冷凍冷蔵倉庫や加工場などの水産関係施設が点在、高度衛生管理への対応に合わせた施設の再編・集約の必要にも迫られている。
 超低温冷蔵庫は老朽化やフロンガスの制限により稼働限界を迎え、加工場の老朽化により消費者ニーズに対応しきれず、漁港内も来訪者と漁業関係者の車両、人、水産物の動線が混在している状況だ。

〜各漁港でも海岸施設の整備推進〜

 県がまとめた総合水産基盤整備事業計画には、災害リスクへの対応など老朽化が進む海岸施設の整備などが盛られた。
 東京湾圏域では、金沢漁港(横浜市金沢区)と柴漁港(同)、北下浦漁港(横須賀市、三浦市)で、防波堤や岸壁などの漁港施設で予防保全型の維持補修に取り組む。北下浦漁港では海岸浸食が進む漁港海岸で離岸堤の整備や養浜などを行う。
 三浦半島・相模湾東部圏域では、三崎漁港や間口漁港(三浦市)、長井漁港(横須賀市)、佐島漁港(同)、片瀬漁港(藤沢市)で、防波堤や岸壁などの漁港施設で予防保全型の維持補修を進める。また、長井漁港と佐島漁港では、横須賀市が越波・越流対策として防波堤や消波ブロックの整備を進める。
 相模湾西部圏域では、小田原漁港(小田原市)で防波堤の延伸、人工リーフの整備を継続。平塚漁港(平塚市)、小田原漁港、岩漁港(真鶴町)では、防波堤や岸壁などの漁港施設で予防保全型の維持補修を進める。
 この他、環境変化に対応した漁場生産力を強化することとし、「磯焼け」の激しい地域の対策として護岸や潜堤などの構造物の整備に「藻場造成機能」を備えた資材の使用を進める。また、投石やブロック設置などのハード整備にも藻場回復対策を検討する。 提供:建通新聞社