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建通新聞社(神奈川)
2022/05/27

【神奈川】県 遠隔臨場 県土整備局土木全件に拡大

 神奈川県は、県土整備局発注の土木工事全件を対象に、情報共有システム(ASP)と遠隔臨場の試行工事を拡大する。入札公告時の特記仕様書に新たに示すこととし、6月中旬以降の公告分から適用を始める。受注者希望型で行う。本年度は土木工事のみとし、営繕工事での検討も続ける。
 ASPの活用を希望する受注者は、試行工事での活用の可否を検討し、施工計画書と合わせて「試行工事対応届出書」を提出する。また、県の書類様式と機能要件などに対応可能なASPサービスの中から利用するサービスを選び、契約。発注者を含めた利用者登録を行い、サービス利用に関する必要事項を監督員に報告する。
 県発注工事で実績があるASP提供事業者は、川田テクノシステム、アイサス、建設システムの3社だが、少なくとも「工事打合簿」をASPで対応可能なシステムであれば提供事業者を指定しない。具体的には工事着手前に受発注者間で協議して決める。
 ASPの利用に係る経費(登録料、利用料)は共通仮設費(技術管理費)の率計上分に含まれる。
 一方、遠隔臨場の実施を希望する受注者は、試行工事での実施の可否を検討し、施工計画書と合わせて「試行工事対応届出書」を提出する。実施する場合には所定の性能を持つ動画撮影用のウェアラブルカメラなどの機器を受注者が準備し、監督員と調整して接続試験を行い、遠隔臨場を実施する。
 所定の性能がある機器を用い、「県土木工事共通仕様書」に定める段階確認、材料確認、立ち合いを実施する場合に適用する。合わせて現場不一致、事故の報告など受注者の創意工夫、自発的に実施するものも含めた活用効果を期待する。
 試行段階の本年度は、遠隔臨場に使用する動画撮影用のウェアラブルカメラなどの機器は受注者が準備、運用するものとし、必要な費用は受注者負担となる。

〜初年度の試行はそれぞれ数件もメリット実感〜

 県はASP、遠隔臨場とも昨年10月に試行要領をまとめ、初年度となった2021年度にそれぞれ数件で実施した。受注者と協議した上で行ったため、特記仕様書では示していなかった。
 ASPについては、監督員を通じて直接、受注者に活用を打診する形を取り、3月までに下水道、街路、河川の合計3件で実施。1件は大手、2件は地元の建設業者だった。遠隔臨場については初年度、藤沢土木事務所管内と厚木土木事務所東部センター管内の河川工事2件で試行。受注者は地元業者だった。
 昨年度の試行では、経験のある受注者が行ったため、比較的スムーズに進み、発注者側の監督員も現場への訪問や書類のやり取りなどにかかる時間のロスを減らすことができ、メリットの大きさを実感しているという。
 県は、試行の拡大に踏み切る中で、これまで“手を出せなかった”地元業者にも積極的に手を挙げてもらい、「(利用しての印象や課題など)できるだけ声を集めて、県として次に打つ手を考えたい」(技術管理課積算システムグループ)という狙いがある。また、インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みを県としても強化することで、若い人材を建設業界に呼び込むことにもつなげたいという思いもある。

〜CCUS活用も試行実施めざす〜
 県土整備局は、本年度中の試行実施を目指して建設キャリアアップシステム(CCUS)活用モデル工事についての検討にも入った。実施要領などについて今後、具体的にまとめる。
 都道府県では、3月までに35団体が発注工事への企業評価の導入を表明、他の12団体も導入を検討している。神奈川県はその他12団体にある。 提供:建通新聞社