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建設経済新聞社
2022/05/31

【京都】食の技術テーマに構想検討 南田辺・狛田地区に企業集積

 京都府は、「京都フードテック構想(仮称)」の策定に向け検討を進めている。
 農林水産部は、京都ならではのフードテックにより様々な課題を解決するため、同構想を策定する検討費として200万円を6月補正予算案に要求した。
 フードテックを巡っては、令和3年6月議会の一般質問でけいはんな学研都市の南田辺・狛田地区にフードテック等をテーマに特色ある企業の集積を図るとする報告書について府が報告。9月議会では「南田辺・狛田地区の開発については、地元市町から研究開発型産業施設の立地ニーズの高まりを踏まえ、地区の一部を住宅地ゾーンとして残しつつ、文化学術研究ゾーンへの変更を求める要望がなされたことから、これを踏まえ、国の同意を得て建設計画を見直した」「その後、地元市町や大学等が参画する整備検討委員会において、具体的な開発コンセプト等の議論を行い、中心エリアにフードテックなどの特定のテーマを設定することでとりまとめられた。『食』は、健康長寿を伸ばす上でも極めて重要な分野であることから、スーパーシティを目指した取組の中にも盛り込んでいる」と鈴木一弥商工労働観光部長(当時)が答弁。11月議会の決算特別委員会では「南田辺西地区での大学や研究機関の集積を生かすとともに、世界的な食糧問題の解決にもつながる、食品加工技術や環境にやさしい農業技術の開発と実用化や産業化が同時に進められるようなフードテック構想の推進などの事業に取組を始めている」と西脇隆俊知事が答弁し、また「京都府が地権者である南田辺西地区は、南田辺・狛田地区の中核的な役割を担うべきエリアであることから、人口増加への対応や健康長寿社会の実現が世界的な課題となっていることを踏まえ、フードテックをテーマの最有力候補としている」「次に南田辺西地区の開発の進め方については、公費負担の軽減と魅力ある開発を進めるため民間活力を活用することとしている。既に提案募集により選定をした事業者の技術的な助言を参考にしながら、来年(令和4年)春を目途に開発用地の整備計画や道路等の公共施設整備などに関し課題の整理を行っている。その後、改めて造成工事等を行う事業者の公募・選定を行い、早期のまちびらきを目指して取り組んでいく」「将来、立地した企業が産学連携などに取り組み、南田辺・狛田地区がフードテックの世界的なエリアとなるよう取り組んでいく」と鈴木商工労働観光部長が答弁した。
 令和4年2月議会の代表質問では「南田辺西地区では、産学官住の連携による、世界的な課題である食料問題の解決に向け、フードテックの開発と実用化に取り組むこととしており、こうした取り組みは住民サービスの向上に大きく寄与するとともに、社会課題の解決にもつながる」と西脇知事が答弁した。
 このほか、京都府立大学はこのほどまとめた府立大学整備構想において、新たに設置される農学食科学部について、和食文化科学科を除いて精華キャンパスに移転を検討。これに伴い、下鴨に設置されている暫定農場についても必要な施設・機能を全て精華キャンパスに移転を検討するとしている。
      ◇      
 府が地権者の南田辺西地区については、民間活力による開発を見据え、開発事業に係る事業提案を令和3年7月に募集。事業提案者として、大成建設滑ヨ西支店(大阪市中央区)、潟tジタ西日本開発事業部(大阪市北区)、牧草総合設計梶i京都市下京区)の3者を選定した。
 選定された事業提案者の役割等は、▽府が検討する当該地区の事業展開や公共施設整備などの課題への対応に関する助言▽府が検討する当該地区の土地利用計画(用途、敷地計画等)などの課題への対応に関する助言等。
 開発事業の手法は同意型個人施行区画整理事業を想定する。
 対象の京田辺市三山木奥山田148−1他の約60fは、平成24年1月に日本生命保険相互会社が府へ寄付を申し出。平成25年1月に寄付契約書が締結され、府への所有権移転が完了した(地権者は京都府、京田辺市。一般地権者なし)。
 現況は山林等(丘陵地帯)で、甲子園(兵庫県西宮市)の15倍程度、京都御苑(京都市上京区)と同程度の大きさがあり、南北1q、東西1・1qに及ぶ。北側は南田辺北(同志社山手)の開発地に接し、南東側には京奈和自動車道精華下狛インターチェンジがある。