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建通新聞社(静岡)
2022/07/27

【静岡】速やかな繰越手続き 適正な工期設定 容易に

 財務省東海財務局は、年度内に工期が終わらない工事の繰り越し手続きを前倒しにする「速やかな繰越手続き」を管内の地方自治体に呼び掛けている。用地取得の遅れなど、年度途中に工期末までの完了が見込めない「繰越事由」が発生した場合、自治体は繰越明許費の議会承認を受けた上で予算を繰り越し、工期を延長する。従来は年度末に行っている議会承認を繰越事由の発生直後に前倒せば、変更契約も前倒しになるため、適正な工期を設定することも容易になるという。
 繰越明許費を活用した「速やかな繰越手続き」は、品確法の運用指針でも公共工事の発注者に求められている。工期が1年に満たない工事であっても、繰越明許費を適切に活用すれば、年度末の手続きや工事の集中を回避し、適正な工期の確保、施工時期の平準化を実現できるためだ。
 ただ、東海財務局がまとめた管内4県(愛知県、三重県、岐阜県、静岡県)の月別繰越申請=グラフ参照=によると、21年度の申請は1〜3月に全体の8割が集中している。繰越事由の発生直後に工期を延長しても、繰越明許費の議会承認を受けないと工期を当該年度内に収めざるを得ない。国庫補助事業であれば、財務局の承認、自治体の議会承認後に翌年度にまたがる2度目の変更契約を結ぶ必要があり、さらに手続きが増える。
 繰越事由の発生後、9月議会や12月議会で速やかに繰越明許費の承認を受ければ、年度末を待たずに年度を跨いだ工期延長の手続き終えることができる。発注者側は年度末に集中していた変更契約の事務処理が減り、翌年度工事の準備期間を確保できる。受注者にとっても、適正な工期が確保され、人材・資機材を余裕を持って準備できるメリットがある。

「静岡市が当初予算計上」

 静岡県は、こうした効果を踏まえ、21年度から9月議会に繰越明許費の承認を受けるようになった。一方、愛知県、名古屋市、静岡市では、通常は事業ごとに設定する繰越明許費を過去の実績を踏まえて「枠」として当初予算に計上。手続きを大幅に簡素化している。21年度に当初予算への繰越明許費の計上を始めた静岡市では、22年度当初予算に45・6億円の枠を確保。県も、23年度当初予算への繰越明許費の計上を検討しているという。