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建通新聞社(静岡)
2022/08/22

【静岡】3次元点群データ 公共施設台帳と連携

静岡県は、3次元点群データで県内の地形を仮想空間に再現した「VIRTUAL SHIZUOKA」と、道路・河川などの公共施設台帳を連携させた「次世代インフラプラットフォーム」を構築する。位置情報(経度、緯度、標高)を付与した3次元点群データにインフラの属性情報(規模、完成年度など)を追加することで、老朽化対策に必要な測量作業の一部を省略したり、点検作業を簡素化。インフラ管理の効率化につなげる。
 VIRTUAL SHIZUOKAは、航空測量などで取得した3次元点群データによって、県内の地形を仮想空間に再現する試みで、県は21年度末までに山間部を除く
県内全域のデータを取得した。人口カバー率は100%だという。
 昨年7月に発生した熱海市の土石流災害では、この点群データと災害発生後に取得した3次元点群データの差分から、流出した土砂の総量を算出。復旧作業にも役立てた。
 3次元点群データはオープンデータとして公開されており、14日に発生した松崎町の土砂災害でも、民間の土砂災害発生のシミュレーションに活用されている。防災関連だけでなく、観光や景観検討、文化財保護といったさまざまな用途へのデータ活用が想定される。
 県は道路、河川・海岸、砂防、港湾・漁港の公共施設台帳と、この3次元点群データを紐付け、データ活用の幅をさらに広げる。3次元点群データと各施設の公共施設台帳を連携させた次世代インフラプラットフォームを2022〜23年度の2カ年で構築する。プラットフォームの一部は23年度から公開する。
 具体的には、公共施設台帳にあるインフラのスペックを仮想空間上に属性情報として付与し、3次元点群データにある位置情報とリンクした一元的な管理を実現。例えば、道路法面の定期観測をドローンで行い、最新の3次元点群データを取得すれば、プラットフォームにある点群データと比較して劣化状況を効率的に確認できる。災害時に危険箇所に立ち入る現地測量も不要になる。現地情報を事前に把握できるため、設計時の手戻り防止などにも効果を発揮するという。
 3次元点群データの精度の向上にも力を注ぐ。これまでも、完成後に3次元点群データを納品したICT活用工事を対象として、受注者の工事成績を加点する「3次元データ納品工事」を実施しており、22年度からはこの対象をICT活用工事以外の一般土木工事に拡大した。県発注工事によって改変された地形のデータを3次元点群データに履歴として反映させる狙いがある。