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建設経済新聞社
2022/08/22

【京都】都市計画見直しエリア5地域 京都駅周辺、市境エリアなど選定

 京都市は19日、地域ごとの特性を踏まえた「都市機能の集積・充実」及び「都市空間の魅力創出」に向けた今後の都市計画上の方策のあり方等をまとめ明らかにした。
 駅周辺等にふさわしい都市機能検討委員会に答申案としてまとめ報告したもの。今後9月以降に答申を提出し、パブリックコメントを経て、都市計画変更の手続きを進める。
 主な内容をみると、若い世代はもとより多様な世代や企業から選ばれるまちを目指し、伸びしろのあるエリアを検証。重点的かつ戦略的な都市計画として見直すべきエリアとして5つの地域(@京都駅周辺Aらくなん進都B外環状線沿道C市街地西部工業地域D市境エリア)を選定するとともに、課題に対する方策をまとめた。
 対象エリアと主な方策は次の通り。
@京都駅周辺
a)京都駅南部
 《主な方策》▽規制の谷間を早急に解消すべき。まずは用途地域や高度地区を見直すことなどにより幹線沿いにまちの賑わいや働く機能を着実に誘導するとともに、各幹線の交差点の都市機能や景観をポイント的に魅力的なものに誘導することが必要▽幹線沿道においては、後背地の住環境との調和に配慮しつつ、通りに向けて賑わいや活動が一体的に創出されるよう土地利用を誘導することや、実際に既にまとまっている土地に土地利用の動きを作り良い事例を見せるなど、京都駅から、らくなん進都方面へ歩きたくなる雰囲気をつくり、実態に即した方策を講じることが不可欠
b)梅小路京都西駅周辺
 《主な方策》▽七条通の歴史的な特性を生かし、沿道の商店街や市場関連施設など個性あふれる町並みを大切にすることをベースとしながらも、そこに新たな活動やデザインの建築が重なり混じり合い、相乗効果を発揮するクリエイティブなまちづくりを推進するための支援を講じていくべき。また七条通では、古くからの商店街が共同住宅に建て替わり、商店街としての連続性が失われつつある状況が見られるため、魅力や賑わいが再生されるよう、低層階に店舗・事務所などを配置することを条件に、若者の定住の受け皿としても有効な共同住宅との組み合わせが可能となる容積率と高度地区に見直すなど、早急に実効性のある誘導方策を検討すべき▽中央卸売市場の周辺では、既存建築物のリノベーションなどを積極的に支援することが重要なことから、求める機能を特定した上で、エリアの魅力や活力の維持・向上に資する容積率や高度地区のあり方を検討することが望ましい▽南北軸の七本松通は、新旧機能の共存・融合を図ることに考慮しつつ、エリア全体の活性化や回遊性の向上につながるゾーニングを検討すべき。後背地の住環境との適切な分散配置を図るため、路線的商業地域の指定や、容積率・高度地区の引き上げとともに、周辺の幹線沿道との不均衡を是正することも含めて検討する必要がある
Aらくなん進都
a)鴨川以北(十条・上鳥羽口駅周辺)
 《主な方策》▽南部創造のまちづくりの先導地区にふさわしい新たな拠点づくりを目指し、用途地域を見直すといった対応により、国内外の最先端のものづくり企業をはじめとする企業の知の集積を図るための本社機能や生産・研究開発・流通機能の集積はもとより、働く人のために必要となる商業機能や賑わいといった働きやすい都市環境の向上を図るため、整備水準が高い都市基盤に見合った容積率を付与した上で大街区化や高度利用を促進すべき。その手法として大部分のエリアが立地適正化計画制度の都市機能誘導区域に指定されていることを踏まえ、特定用途誘導地区を活用した土地利用の誘導方策も積極的に検討すること
b)鴨川以南(丹波橋通〜東高瀬川〜油掛通〜国道1号)
 《主な方策》▽操業環境の維持・向上に資する建ぺい率のあり方を研究すべき。その場合、火災への安全性の確保等の観点から、準防火地域の指定の必要性を検討するほか、特別用途地区や立地適正化計画制度を活用することにより、古くから立地するものづくり企業と住宅が共存する環境の維持を図ることが望ましい
c)竹田駅周辺
 《主な方策》▽駅の北東エリアでは、特に区画整理事業により基盤整備がなされているため、主に当該住宅地の利便性の向上を図るといった観点から、土地利用の進展が見られる周辺幹線沿道(国道24号)と一体的に商業系の用途地域へと見直すことにより、鉄道駅を中心として地域の拠点となる良好な市街地の形成を誘導していくことが重要。さらに駅周辺の生活圏を魅力と活力のあるものにしていくためには、徒歩圏内にあるくいな橋駅周辺のまちづくりとの連携が効果的なことから、2つの駅をつなぐ竹田駅北東エリアにおける土地利用については、駅周辺の賑わいや活力を一体的に引き出すことも必要。国道24号沿道は、後背地の住宅地との適切な機能分担を図るため、現行の路線的商業地域の指定を基本にしつつ、竹田駅周辺と一体的にポテンシャルの向上を図ることが望ましい
B外環状線沿道
 《主な方策》▽幹線道路沿道との一体的な土地利用が誘導できていない要因を解消しておく必要がある。その場合、まずは容積率と高度地区の組み合わせが重要となるが、沿道の道路幅員と建築物の高さのバランスや、後背地の住宅地との関係性を考慮し、圧迫感を低減するための十分な前面空地を確保するなど、周辺の住環境等への配慮を行い、それらを単なる緩衝帯として捉えるのではなく、沿道へと開放し、人と人のつながりを促す広場空間として、将来的に地域のコミュニティや文化の創造拠点として発展していく都市空間を創造していく視点が重要。そのためには、従来から住宅系の用途地域だったエリアにおける住環境への配慮を行うため、必要に応じて特別用途地区を活用しつつ、沿道の街区単位で一体的に商業系の用途地域とした上で、容積率を十分活用し得る高度地区に見直すことにより、計画自由度を向上させ、事業者の創意工夫を十分に引き出すべき▽外環状線沿道を含む東部方面には、大規模団地や公的な低未利用地なども多く存在することから、沿道との一体的な土地利用の策とは別に、民間活力の導入も見据えながら、地域及び京都市全体の魅力・活力を高める土地利用を図っていくことが重要
C市街地西部工業地域(西院駅、西京極駅、西大路駅周辺)
 《主な方策》▽住と工の混在が進んでいる現状を踏まえると、若い世代の定住促進を促そうとする京都市においては、かつての市街地の拡大局面における用途・形態の純化を基本とする市街地を実現するための立地規制から、現在置かれている市街地の成熟・縮退局面において、市街地内での用途・形態の一定の混在を認めた都市計画へ見直すことを検討すべき▽工業地域における職住共存を実現するためには、操業環境の保全・向上や生産機能の高度化への対応に影響がないことが不可欠であり、現行の工業地域のまま、ものづくりと調和し生活利便が整った居住環境を創出させる必要がある▽西京極駅のように昭和48年の容積率制度の導入にあわせて、交通施設を評価し、現在の駅前に商業地域を指定したエリアは、旧来の集落や街道沿いの土地利用状況とのミスマッチにより、駅周辺に商業施設が誘致しにくい状況が生じているため、改めて基盤整備や商業施設の土地利用の状況を踏まえ、駅北東エリアにおける住工共存の進展も見据えながら、用途地域や高度地区を見直すなど、定住人口の求心力となる駅の拠点性を確保するための方策を検討すること
D市境エリア(向日町駅、桂川駅・洛西口駅、淀駅周辺)
 《主な方策》▽都市機能の集積性をより高めるため、用途地域や高度地区などの制限に不均衡が生じないように調整することが最も有効であり、特に向日市域に隣接する工業地域においては操業環境の向上に必要な建築物の高さと床面積をしっかりと確保すべき。加えて、新たな魅力や価値の創造はもとより、利便性や生産性を向上できるよう、必要に応じて特別用途地区や立地適正化計画制度を活用するなど、ものづくり産業の操業環境の保全に配慮することが望ましい▽淀駅周辺のように、旧駅時代に応じた地域地区のままで新たな土地利用が進展しにくいエリアでは、都市基盤や土地利用の状況も踏まえ、幹線道路や周辺の区画整理事業の進展にあわせて、一体的に用途地域や高度地区を見直すなど、土地利用を誘導するゾーニングを検討すること