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建設新聞社(長崎)
2022/08/24

【長崎】全国初 労働安全衛生活動推進で協定

長崎工業高と建災防長崎県支部
   キャリア教育の一環として相互連携

 長崎県立長崎工業高等学校(北島弘明校長)と建設業労働災害防止協会長崎県支部(谷村隆三支部長)は22日、相互連携による労働安全衛生活動の推進に関する協定書を締結した。高等学校と建災防との連携は全国初の取り組み。

 昨年度、建災防県支部が工業高校建設系教員向けに実施したフルハーネス特別教育がきっかけ。その際の教員らとの意見交換の場で、生徒のキャリア教育の一環として、資格取得や安全衛生教育で連携することを確認。取り組みの先駆けとして、長崎工業高校と連携協定を締結することになった。

 長崎工業の視聴覚室で行われた締結式には、高校と建災防県支部関係者のほか、来賓として(一社)長崎県建設業協会、(公財)長崎県建設技術研究センター、長崎労働局労働基準部健康安全課と、長崎県の教育庁高校教育課、産業労働部若者定着課、土木部建設企画課の関係者も出席した。

 締結書を取り交わした谷村支部長は、県内建設業の2021年4月以降の死傷労働災害のうち20歳代以下は17%を占めていること、現在は新型コロナや熱中症への配慮も必要なことに触れ「建設現場に新規入場する前に、安全衛生に関する基礎的な知識を学ぶことは、健康と安全を守る上で大変重要」と協定の意義を強調。協定を契機に、出前講義や見学会、資格講習など学校との連携授業を行うとともに、将来的には、土木・建築などの建設関連学科を持つ、その他の県内高校とも連携を拡大し、建設業における労働災害防止の理解と、担い手の育成に繋げる計画を掲げた。

 北島校長は、今回の協定締結の意義を「学校で完結しがちな学びに、社会の風を取り入れること」と一言で語り、社会・企業と乖離が無く、地域・企業に一層理解してもらえる実践的な学びに繋げる姿勢を示した。また「安全教育は工業教育の根幹。しかし、安全意識は、その重要性がだんだんと薄れてしまう危険性がある」と述べ、「今回の連携は、生徒にとって建設業界で取り組んでいる労働安全衛生活動に触れる機会=A先生方にとって自らの指導のアップデートに繋がる∴モ義深い事」と話した。最後に、「連携の主役は生徒達。安全教育の学びを深めることで、これからの社会の担い手としてさらに成長して欲しい」と期待してあいさつを締めくくった。
締結式参加者の集合写真
 協定書では、▽建設業の労働安全衛生関係の出前講義▽建設関係の資格取得▽その他必要と認める事項―に関することについて、これまで以上に連携を深めて取り組むことを規定。今後両組織は、建設キャリア教育の一環として、労働安全衛生教育や建設現場で必要な資格取得について連携し、労働災害防止への理解と啓蒙・啓発、労働安全衛生環境の推進、人材育成の取り組みを進めていく。

 締結式の最後には、建築科3年の平山裕都さんが生徒を代表してあいさつ。「安全について授業や実習を通して学んでいるものの、現場でどのように安全を守っているか詳しく知る機会はなかった」と述べ、今回の協定で、実際に安全パトロールに参加したり、労働安全衛生に関する講習の受講など、実践に近い経験ができることを期待した。

 平山さんの目標は建築施工管理者。協定をきっかけに「安全管理の知識を増やし、みんなが安心して働ける環境を整えられる施工管理者になりたい」と、将来を見据え「皆さんの期待に応えられるよう、これからの建設業界、社会の発展のために力を尽くしていきたい」と誓った。
ksrogo