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建設経済新聞社
2022/09/21

【京都】由良川取水口の上流移転を検討 日本水工設計で基本計画策定に着手

 舞鶴市は、上水道の取水量の約8割を担う由良川からの取水について、将来にわたり安定的な取水確保を目指し、取水口の上流移転の検討を進めている。
 舞鶴市上水道は、由良川において、二箇取水場(福知山市大江町二箇小字狭迫258/1日最大取水量6万6000m3)を昭和40年代から使用している。老朽化のため、平成26年度までに管理棟と受変電設備や取水ポンプ2基の更新工事を実施した。
 また塩水遡上対策のため、二箇取水場の2・4q上流に有路補助取水場(福知山市大江町二箇小字下嶋2215−3/1日最大取水量6万6000m3)を整備し、二箇取水場で取水できない場合に備え送水できるようにしている。二箇取水場から370m下流に防潮幕を張って、塩水の逆流を防ぐ対策も講じている。なお令和3年度の取水実績は日平均2万2938m3(日最大3万1604m3)。
 そうした中、気候変動による海面上昇が塩水遡上に与える影響について国から研究結果が示され、現在の取水場所での安定的な取水確保が困難となる恐れがあることが判明したことから、将来にわたり安定的な取水確保を図るため、上流移転の検討など移転基本計画をとりまとめる。
 取水施設移転基本計画策定業務について、6月に入札で日本水工設計京都北事務所(京丹後市)に決定した。履行期間は令和5年3月28日まで。主な業務内容は、塩水遡上を受けない場所の選定に向け取水口移転候補地の抽出、移転候補地での取水可能量の検討のほか、河川水以外の水源への代替可能性の検討など。
 取水施設の移転を巡っては、9月議会の代表質問(1日目・14日)で水道施設の整備と安定供給について質疑があり、多々見良三市長が答弁した。
 多々見市長は「総給水量の約8割を由良川から取水しているが、渇水期には河口から塩水が逆流する塩水遡上現象により、二箇取水場での取水ができなくなることがある。この対策として防潮幕を設置することや有路補助取水場から取水することにより対応しているが、梅雨時期などで防潮幕が設置できていない場合や、まれに有路補助取水場を越えて塩水が遡上し、取水を停止せざるを得ない時間が発生することがある。このような状況のなか、環境省が公表した調査報告では、地球温暖化による海面上昇により塩水遡上距離がさらに上流に延びると予測されており、このような新たな危機現象に対する今後の対策の進め方について、今年度から取水場の上流移転などの根本的な対策について基本計画を策定することとし、河川管理者である国土交通省など関係機関と協議を進めている」「上流移転などが実現できるまでの危機管理対策としては、これまでの防潮幕の設置のほか、有路補助取水場の上流から仮設ポンプ取水や第2防潮幕の設置などを講じることとしている」などと述べた。