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北陸工業新聞社
2022/11/02

【富山】22年秋の褒章/久郷愼治氏が黄綬受章/「技術の伝承と若手育成を」

 2022年秋の褒章が発表され、県内から久郷一樹園代表取締役で、富山県緑化造園土木協会の理事である久郷愼治氏が黄綬褒章を受章した。
 多年にわたり造園工事業に従事し、関係団体の要職にあって斯業の発展に尽力した功績が認められた。受章については「これからも様々な機会を通じ、技術の伝承や若手育成に頑張りたい」と業界への恩返しを口にする。
 大工や造園などのプロを育てる全国でも珍しい専門学校「職藝学院」(富山市)に1996年の設立当初から関わり、ずっと教授として庭師の育成に尽力、理事・評議員として学校運営にも骨を折る。その間、フランス、ノルウェーなどの依頼を受けて海外でも日本庭園を造成した。「癒やしの空間として大変喜ばれた。国相互の友好・親善に造園を通じて貢献できた」と振り返る。富山県とロシア・ウラジオストクとの友好提携10周年を記念した作庭では、ボランティアとして協力。「県内の関係者にも呼び掛け、28人でともに作業にあたり、その後も桜の植樹で現地に出向いた。寒さが厳しい地のため苗木のきめ細かい管理を指導した」と当時を思い起こす。
 「温故知新」の精神を大切にしており、庭園管理を任される国登録有形文化財「内山邸」(富山市)では、水琴窟の改修に取り組み、元通りに蘇らせた経験を持つ。「上手に反響音を出せるように甕(かめ)をセットするには、熟練の経験が物を言う。伝統の技を習得できる貴重な機会だと思い、自社だけでなく、他社も含めた講習会を開催して修復工程を見学させながら完成させた」。現在も拝観者にきれいな音色を響かせているという。
 職人の育成と緑豊かな環境保全のために東奔西走する姿は業界の外でも認められ、2004年には母校の東京農業大学から「北陸地域における伝統的職藝の継承教育についての実践的活動」に対して「造園大賞」の表彰を受けた。造園職人の高齢化や入職者減の対策は深刻とし、「高校で農業や植物を学ぶ生徒に造園の仕事を紹介し、職業選択の1つとなるよう出前授業を2年前から行っており、継続していきたい」と力を込める。先日は自身が支部長を務める日本造園建設業協会富山県支部が企画して富山市の中央農業高校で開いた。
 くごう・しんじ 1953年生まれ、69歳。東京農業大学造園学科卒。1875(明治8)年創業の久郷一樹園(富山市丸の内)代表取締役。2010年に国土交通大臣表彰、17年に富山県功労表彰。富山経済同友会常任幹事など経済団体の役員にも就く。

hokuriku