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建設経済新聞社
2022/11/09

【京都】伏見工業高校跡地等に脱炭素街区 ZEH住宅約400戸整備 国の脱炭素先行地域選定で取組

 京都市は8日、国が進める「脱炭素先行地域」に選定されたことを市会文化環境委員会に報告した。
 国は、政府目標である2050年(令和32年)を待たずに、2030年(令和12年)までに民生部門(家庭部門及び業務部門)の電力消費に伴うCO2排出量正味ゼロを実現していく地域を脱炭素先行地域として選定。当該地域では、地域資源である再生可能エネルギーの最大限活用と併せて地域課題の解決にも貢献する地域脱炭素の実現の姿を示し、これを全国に広げていく考え。2025年度(令和7年度)までに全国で少なくとも100ヵ所を創出する見込み。
 当該地域に対しては、5年間で最大50億円の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」をはじめ、継続的かつ包括的な支援が行われる。
 京都市の提案内容をみると、テーマは「京都の文化・暮らしの脱炭素化で地域力を向上させるゼロカーボン古都モデル」。対象は伏見エリアを中心とした文化遺産群・商店街・住宅エリア等。
 全体像によると「伏見エリアを中心に、地域コミュニティの核である文化遺産、商店街、住まいにおける脱炭素転換を図り、訪れてよし、商ってよし、住んでよしのサステナブルな賑わいを創出する」。
 主な取組内容は(@文化遺産の脱炭素)▽伏見稲荷大社、藤森神社、醍醐寺、真宗大谷派の地域寺院などにおいて、駐車場や敷地内関連施設等、設備導入が可能な箇所を工夫して、太陽光発電設備などの再エネ発電設備(約2・0MW)・蓄電池を導入することや、機器の省エネ改修、再エネ100%電力に切り替えることで、市内100ヵ所の文化遺産において、脱炭素転換を目指す(A商店街の脱炭素)▽伏見大手筋商店街や納屋町商店街、竜馬通り商店街において、ソーラーアーケード(全長560m)や店舗への太陽光発電設備(567kw)・蓄電池等を導入する。あわせて、脱炭素をテーマに商ってよしの実践や消費行動の脱炭素転換につながる取組を実施する(B住まいの脱炭素)▽新規住宅街区の形成(伏見工業高校跡地及び隣接する上下水道局用地を活用して、民間活力により、建物の屋根を最大限活用し太陽光発電と蓄電池を導入し、エネルギー収支がゼロとなるZEH(ゼッチ)住宅(約400戸)を整備し、脱炭素仕様の住宅街区を創出していく。あわせて、脱炭素に加えて、安心・安全、地域コミュニティの活性化等、暮しの質向上を図るとともに、若者・子育て世代のニーズに合った住宅供給による定住促進や、人が集える場として近隣住民がともに利用できる公園・商業施設・コミュニティスペースを整備し、賑わいを創出する。また三宅市営住宅跡地(左京区)においても、民間活力によりZEH住宅街区14戸を形成する)▽既存住宅の取組(市内全域を対象に、地域の工務店等と連携して、既存住宅のリフォーム需要の掘り起こしと合わせたZEHレベル化改修(居室等の部分改修を含む)を促進する仕組みを構築する)(C脱炭素転換を支える基盤的取組)▽市内の小売電気事業者及び発電事業者との連携により「京都広域再エネグリッド協議会(仮称)を創設して、安定的に再エネ供給を行うための体制を整備する。あわせて、市遊休地を活用し民間活力により地域貢献型のメガソーラーを整備する(オフサイト再エネ発電、2・6MW)▽龍谷大学及び立命館大学と連携し、脱炭素専攻地域をフィールドとしてグリーン人材を育成するとともに、その活動拠点となる大学キャンパス等を脱炭素転換する▽金融機関、機関投資家、市民がともに資金の担い手となる脱炭素ファンドを組成するとともに、脱炭素先行地域の創出に必要となるグリーンプロジェクトに対し、民間資金を継続的に呼び込むため、ローカル・グリーンインパクトファイナンスのモデルを構築する(D移動の脱炭素)▽移動の脱炭素転換を図るため、点在する文化遺産を巡るタクシーのEV(電気自動車)転換(738台)や伏見稲荷駅のゼロカーボンステーション化を行う。
 取組期間は2022年度(令和4年度)〜2030年度(令和12年度)。
 2022年度(令和4年度)は、全庁横断体制として「京都市脱炭素先行地域推進チーム」や、関係団体等が参画する「京都市脱炭素先行地域推進コンソーシアム」を発足して推進体制を整備。2023年度(令和5年度)以降、国の交付金を活用し、商店街、寺社、新たな住宅街区等において、脱炭素事業を展開していく。
 2023年度(令和5年度)の当初予算案に関連費を提案予定。