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建設経済新聞社
2022/11/16

【京都】植物園整備で施策の方向性検討 観覧温室リニューアルなど示す

 京都府は15日、植物園整備検討に係る有識者懇話会(座長・岩科司前公益社団法人日本植物園協会会長)の第3回会合を開催。府立植物園整備に係るコンセプトと施策の方向性について検討した。
 府立植物園が令和6年(2024年)に開園100周年を迎えることから、「生きた植物の博物館」の理念の下、ハード・ソフト両面を見据え策定した府立植物園100周年未来構想を具現化するため、幅広い視点から多様な意見を聴取することを目的に有識者懇話会を設置。6月に初会合、8月に第2回会合を開いた。
 第3回会合では、植物園職員ワーキンググループの実施状況を報告。9月に先進地視察(水戸植物公園、神代植物公園、新宿御苑、広島市植物公園、ときわミュージアム)を行ったことのほか、植物園整備検討プロジェクトチームによる議論の中で「新しい観覧温室はリニューアルより新築が望ましい」「子供向け、大人向けの植物に関する図書コーナーや常時の園芸相談等、複合的な機能を備えた諸室の整備が望まれる」などの意見があったことが報告された。
 府が考える植物園整備に向けた考え方を示した。主な内容をみると、根本機能として「栽培」を掲げ、受け継がれてきた栽培技術を維持・発展させ、人材育成につながる取組を進める。
 京都の植物多様性を守る学際的研究拠点の「研究」を掲げ、大学等との連携により、植物園において栽培技術及び植物多様性保全に対する研究を進め、成果を分かりやすく発信する。
 全ての来園者に植物を通じた知的好奇心を育む「学習教育(学びの場)」を掲げ、様々な世代が年代・目的に応じた学びを選択できるオープンな科学の場を提供。デジタルを活用し、新しい手法により植物や植物園の魅力を伝えるとともに、来園できない人に対しても魅力を発信・普及する取組を行う。
 京都の街中で多様な植物に触れ癒しを感じる空間「魅力(いこいの場)」を掲げ、100年間培ってきた歴史を大切にし、京都の植生や植物にまつわる京都の文化等を発信することで、府民が誇れる京都のシンボルとして役割を果たす。利用者目線を徹底し、誰もが利用しやすい、いこいの場を形成する。
 これら4点を踏まえ、栽培技術を継承・発展させながら、植物多様性保全に関する研究機能を強化し、子どもたちをはじめ幅広い世代が自然環境や植物と人との関わりについて楽しみながら学べる「生きた植物の博物館」を目指すべきではないかとした。
 植物園整備に向けた施策の具体的な方向性について、想定されるハード整備としては、「栽培」では▽新しい栽培技術の発展を見据えたバックヤードの拡充・高度化▽見せるバックヤードの整備▽栽培用LED照明の導入、「研究」では▽標本庫及び閲覧コーナーの整備▽大森文庫や標本、研究成果の展示スペースの整備▽研究者と職員が交流できる場所の整備、「学習教育」では▽常設展示室、特別展示室▽観覧温室のリニューアル▽鳥の目視点で植物が観察できる吊り橋(キャノピーウォーク)▽子ども連れ等の幅広い世代がワークショップ等で学習できる場所の整備、「魅力」では▽ビジターセンター機能の設置▽大屋根広場等の全天候型施設の整備▽植物画等のアートギャラリーの設置▽トイレ、授乳室、休憩所等の来園者快適性向上に資する施設の更新、増設▽植物園の魅力向上に資するカフェスペース等の整備▽インクルーシブデザインの視点に立った施設整備を挙げた。