トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(静岡)
2022/12/02

【静岡】インフレスライド 議会案件8件に適用

 静岡県は、12月1日に開会した県議会12月定例会に工事請負契約の変更案9件を提出した。いずれも議会付議案件(予定価格5億円以上)として当初契約を結んでいたもので、このうち8件は資材価格の上昇を受けて受注者がインフレスライドの適用を申請したもの。資材価格の伸び率は鈍化し、高止まりの傾向を示しているものの、当初契約後の大幅な価格上昇分をスライド条項を活用して契約に反映する。
 議会案件の契約変更は、21年度に合計2件だったが、ロシアのウクライナ侵攻後の資材価格高騰を受け、9月定例会には6件が提出されていた。1日に開会した12月定例会には、前回の9月定例会を上回る9件の契約変更案を提出。このうち、計画変更に伴う大仁警察署庁舎を除く8件が資材価格の上昇を受けてインフレスライドを適用した契約変更だという。
 インフレスライドは、資材・労務単価の上昇を契約に反映するための中間修正的な措置。変更積算した上で、残工事費の1%を受注者が負担し、1%を超える額を増額変更分として請求できる。 インフレスライドを適用し、12月定例会に契約変更案を提出した8件のうち、6件は建築工事。土木工事と比べて使用する資材の品目が多い建築工事は、特定の資材ごとに変更額を請求できる単品スライドの適用が難しく、インフレスライドを適用する工事が増えた。
 当初契約比で上昇率が最も大きかった工事も「清水東高校特別教室棟」の5・4%増。PFI事業として実施する「県営住宅佐鳴湖団地建替整備事業」は、4工区で進める建て替え工事のうち、1工区の契約変更だけで当初契約額を2億7697万円(3・8%増)増額する見込み。
 県発注の建築工事では、議会付議案件以外にもインフレスライドを適用し、契約変更した工事が1件あったという。

「物価高騰緊急支援助成 補正予算で10億円追加」

 県は資材価格の大幅な変動を踏まえ、価格上昇分を元請け・下請け契約に反映するよう、建設業団体などに要請している他、スライド条項を解説するリーフレットをまとめるなど、適切な価格転嫁を呼び掛けている。
 一方、価格上昇の影響を受けている中小企業・個人事業主を支援する「中小企業等物価高騰対策緊急支援事業費助成金」も9月補正予算で8億円措置。この助成金は、業種を問わず利用できるため、建設業もトータルステーション、ドローン、電動工具・コンプレッサー・発電機などの購入費に充当できる。助成金の上限は50万円。
 11月28日に始まった助成金の申請には、受付開始後1時間半で予算額を上回る合計約10億円(約2700件)の応募があった。当日のシステムトラブルで受け付けを中止したため、県はトラブル解消後に申請受付を再開する。また、12月補正予算案にはこの助成金に10億円を追加しており、予算成立後の12月26日から2次募集をスタートする見込みだという。