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建通新聞社四国
2023/01/31

【高知】杉田ダムを治水専用に 濁水対策で検討案

 物部川流域の自治体や団体、学識経験者などで構成する物部川濁水対策検討会(会長=笹原克夫高知大学教授)が開いた会合で、抜本的な土砂対策の進め方について、事務局を務める国土交通省高知河川国道事務所が治水・利水・環境の側面から考えられる案を示した。上流域にある永瀬ダムの土砂対策として、ダム上流の分脈堰から下流部に土砂をバイパスで流す案や、貯砂ダムからベルトコンベヤーやダンプカーにより下流部に運搬する方法を挙げた他、現在発電用のダムとして活用している杉田ダムを治水専用の流水型ダムとする案も示すなど気候変動にも対応する内容としている。
 検討会では2021年3月に「山地から海岸までの総合的な土砂管理が必要」とし、ダムの堆砂対策や治水・利水への対応などを盛り込んだ「七つの提言」を示した。これを受け、下流部を管理する高知河川国道事務所が、これまで担当していた県とともに事務局を担当することとなった。
 同事務所では、土砂対策の検討業務を23年3月下旬納期で、治水・利水対策の検討業務を24年3月6日納期で建設技術研究所にそれぞれ委託。永瀬、吉野、杉田ダムの領域や下流部の河川領域で考えられる対策案をまとめる作業を進めている。
 このうち最も上流部にある永瀬ダムでは治水機能の強化に向けた放流設備の改造や堤体の嵩上げ、発電機能としての対策では治水容量を発電容量に振り替えたり、発電施設の更新・新設したりする案を例示。土砂対策では排砂バイパスの建設、ベルトコンベヤーやダンプカーでの運搬を挙げた。
 下流部にある杉田ダムは治水専用の流水型ダムとする。現時点では幅広く対策案を検討していることから河床部に放流設備を増築するか、トータルでコストが安い場合は下流部に新たなダムを建設し現ダムを撤去する可能性も示している。
 下流部の河川領域では堤防の拡幅、引き堤、河道掘削、遊水池などの対策案を検討する。
 今後は、治水・利水・環境への効果や影響を踏まえ、それぞれのダムの改造や運用方法の組み合わせを検討し、さまざまなシミュレーションを実施する。さらに国土交通省による河川整備基本方針や河川整備計画を変更手続きを行い、調査・設計を進め、早期の工事着手を目指す。
提供:建通新聞社