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建設経済新聞社
2023/02/06

【京都】南田辺・狛田地区に「食」企業集積 府有地を区画整理し企業等誘致

 京都府は、けいはんな学研都市の南田辺・狛田地区に、食の最先端技術(フードテック)をテーマに特色ある企業の集積を図る。令和5年度当初予算案に関連費を一部新規計上し、加工食品研究開発拠点の整備に向けた基本計画を策定するなど、取組を進める。
 フードテックを活用し、府内の農林水産業・食関連産業の課題解決と産業の振興を図るため、京都フードテック構想を策定。京都ならではのフードテックの取組を通じて、農林水産業の担い手不足や、食に関する価値観の多様化、国内マーケットの縮小など、京都の農林水産業・食関連産業が抱える課題の解決を図り、京の食の高付加価値化と競争力の強化による成長産業化につなげる。
 フードテックを活用する主な例として、▽農林水産業の担い手不足に対応した省力化のためのスマート技術の確立▽気候変動に強い新品種の開発や環境負荷低減実現のための栽培技術の確立▽中食需要の拡大や健康志向の高まりに対応した高機能性加工食品の開発▽国内外の市場開拓に向けた広域流通のための冷凍保存技術の開発などを想定する。
 フードテックを巡っては、府の新たな総合計画にフードテック産業の主な拠点として「けいはんなフードテックヒル」(京田辺市、精華町)を盛り込んだ。
 府は令和4年7月、府所有の京田辺市の南田辺西地区約60fのうち約48fについて、土地区画整理事業により開発を行うにあたり、事業施行予定者を公募により、潟tジタ(東京都渋谷区)を選定した。
 同社の提案によると、「フードテック・スマートバレー」をまちづくりコンセプトに設定。食に関するイノベーション創出の場としてフードテック分野における研究施設・生産施設の集積を目指し、付加価値の高い次世代型産業用地「スマートバレー」の創出を図る。
 土地利用計画によると、幅員30mのシンボル道路、幅員14mの区画道路を配置。敷地のほぼ中央にシンボル公園(1万5500u)を配置するとともに、緑地公園(約7000u)を配置する。歩行者専用デッキを配置し、シンボル道路の東西に位置するシンボル公園をつなぎ、回遊性を向上させる。
 ゾーニングによると、地区の中心的な役割を担う施設整備を推進するゾーン「センターゾーン」、産学連携の場を目指すゾーン(スタートアップ支援の拠点整備を検討)「インキュベーションゾーン」、研究機能主体型の企業を誘致するゾーン「研究開発ゾーン」、生産機能主体型の企業を誘致するゾーン「生産開発ゾーン」を配置する。
 同社により、区画整理として自らの費用で事業準備(調査・設計等)及び実施(造成・インフラ整備等)、開発後の宅地を自ら処分して投下した費用を回収する。宅地の処分方法は研究施設及び研究開発型産業施設の誘致とする。
 協力・連携企業は、大和ハウス工業梶Aソフトバンク梶A東急不動産梶ADaigasエナジー梶B
 令和6年初頭に造成・インフラ整備等の工事に関する協定書の締結、6年春頃に事業認可、造成工事等に着手。8年秋以降に順次土地引渡し開始の予定。
 対象の京田辺市三山木奥山田148−1他の約60f(区画整理対象は約48f)は、平成24年1月に日本生命保険相互会社が府へ寄付を申し出。平成25年1月に寄付契約書が締結され、府への所有権移転が完了した。
 また京都府立大学は府立大学整備構想の中で、新たに設置する農学食科学部について、和食文化科学科を除いて精華キャンパスに移転を検討。これに伴い下鴨に設置されている暫定農場についても必要な施設・機能を全て精華キャンパスに移転を検討するとしている。
 府は令和5年度も取組を推進。当初予算案に京都フードテック推進事業費1億9420万円を計上した。
 京都フードテック研究開発・集積事業に8600万円を充て、新規でフードテック拠点整備・推進として、加工食品研究開発拠点の整備に向けた基本計画を策定。
 新規で農林水産技術センターのリエゾン機能を強化した「京都フードテック研究連絡会議」を設置し、フードテックに関する研究機関のネットワークを構築する。
 このほか、京都フードテックマッチング事業に600万円を充て、京都フードテックエキスポの開催(フードテックに係る研究機関等と食関連事業者等とのマッチングによる新商品・サービスの開発に向け、最先端フードテック展示会の開催)を予定する。