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建設経済新聞社
2023/03/08

【京都】亀岡の農林水産技術センターの研究施設を 綾部の畜産センター等用地に移転 フードテック基本構想の最終案に盛る

 京都府農林水産部はこのほど、京都フードテック基本構想の最終案をまとめた。
 同構想は、食の最先端技術(フードテック)を活用し、府内の農林水産業・食関連産業の課題解決と産業の振興を図るのが目的。なお府は京都フードテック構想(仮称)検討業務について、令和4年9月にシンク・アンド・アクト梶i京都市下京区)と随意契約した。
 構想を実現するための方策について、京都府農林水産技術センターを研究拠点として機能強化することや、最先端企業等の集積エリアの整備などにより、京都の強みを融合した京都ならではのフードテックに関する研究開発を行うことを挙げた。
 主な内容をみると、一次産業の研究拠点の機能強化として、農林水産技術センターの機能強化を図るため、亀岡市に設置している研究施設を綾部市の畜産センター及び農業大学校用地内に移転・集約し、分野横断型の研究体制を構築するとともに、スマート技術や高機能性新品種、有機栽培などフードテックを活用した次世代型農林水産業の実現に向けた生産技術の研究開発・実証及び人材育成を行うための拠点を整備する。

「未来の中食」研究開発拠点
宇治の南部卸売市場に整備


 機能性加工食品等付加価値の高い「中食」の開発拠点の整備として、宇治市の京都府南部総合地方卸売市場(南部市場)に、農林水産技術センターの食品加工研究部門として、食に関わる産学公民のオープンイノベーションにより、京野菜や京都の食文化を活かした冷凍高機能性食品などの商品(中食)を開発・分析・評価・ブラッシュアップする「未来の中食」研究開発拠点を整備する。協同して商品開発に取り組む企業等や府民の協力を得て実施する健康効果の実証実験等の研究成果など、研究拠点が蓄積したデータを共有し、新たなイノベーションを創発するエビデンス(科学的根拠)を獲得するとともに、研究レビューを整備。共同研究にあたっては、企業等が安心して研究に参画できる知的財産権に配慮した仕組を構築する。

学研の南田辺、狛田地区
民活でフードテックヒル


 「食」の最先端研究と関連製造企業の集積拠点の整備として、けいはんな学研都市エリアの南田辺、狛田地区(京田辺市及び精華町)に、機能性表示食品や次世代食品、冷凍流通技術など、最先端領域の研究と、特色のある「食」関連製造企業の集積拠点「けいはんなフードテックヒル(仮称)」を整備する。
      ◇      
 フードテックを巡っては、府は所有する京田辺市の南田辺西地区約60fのうち約48fについて、土地区画整理事業により開発を行うにあたり、令和4年7月に事業施行予定者を公募により、潟tジタ(東京都渋谷区)を選定した。同社の提案によると、「フードテック・スマートバレー」をまちづくりコンセプトに設定。食に関するイノベーション創出の場としてフードテック分野における研究施設・生産施設の集積を目指し、付加価値の高い次世代型産業用地「スマートバレー」の創出を図る。
 土地利用計画によると、幅員30mのシンボル道路、幅員14mの区画道路を配置。敷地のほぼ中央にシンボル公園(1万5500u)を配置するとともに、緑地公園(約7000u)を配置する。歩行者専用デッキを配置し、シンボル道路の東西に位置するシンボル公園をつなぎ、回遊性を向上させる。
 ゾーニングによると、地区の中心的な役割を担う施設整備を推進するゾーン「センターゾーン」、産学連携の場を目指すゾーン(スタートアップ支援の拠点整備を検討)「インキュベーションゾーン」、研究機能主体型の企業を誘致するゾーン「研究開発ゾーン」、生産機能主体型の企業を誘致するゾーン「生産開発ゾーン」を配置する。
 同社により、区画整理として自らの費用で事業準備(調査・設計等)及び実施(造成・インフラ整備等)、開発後の宅地を自ら処分して投下した費用を回収する。宅地の処分方法は研究施設及び研究開発型産業施設の誘致とする。
 協力・連携企業は、大和ハウス工業梶Aソフトバンク梶A東急不動産梶ADaigasエナジー梶B
 令和6年初頭に造成・インフラ整備等の工事に関する協定書の締結、6年春頃に事業認可、造成工事等に着手。8年秋以降に順次土地引渡し開始の予定。
 対象の京田辺市三山木奥山田148−1他の約60f(区画整理対象は約48f)は、平成24年1月に日本生命保険相互会社が府へ寄付を申し出。平成25年1月に寄付契約書が締結され、府への所有権移転が完了した。
 また京都府立大学は府立大学整備構想の中で、新たに設置する農学食科学部について、和食文化科学科を除いて精華キャンパスに移転を検討。これに伴い下鴨に設置されている暫定農場についても必要な施設・機能を全て精華キャンパスに移転を検討するとしている。
 府は令和5年度当初予算案に京都フードテック推進事業費1億9420万円を計上した。京都フードテック研究開発・集積事業に8600万円を充て、新規でフードテック拠点整備・推進として、加工食品研究開発拠点の整備に向けた基本計画を策定。新規で農林水産技術センターのリエゾン機能を強化した「京都フードテック研究連絡会議」を設置し、フードテックに関する研究機関のネットワークを構築する。このほか、京都フードテックマッチング事業に600万円を充て、京都フードテックエキスポの開催(フードテックに係る研究機関等と食関連事業者等とのマッチングによる新商品・サービスの開発に向け、最先端フードテック展示会の開催)を予定する。