トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設経済新聞社
2023/03/09

【京都】脱炭素先行地域の再エネ電力調達 京都市とテラエナジーが連携協定

 京都市とTERA Energy梶iテラエナジー。代表取締役竹本了悟氏(浄土真宗本願寺派慈光山西照寺住職)、京都市右京区)は8日、京都広域再エネグリッド構築に関する連携協定を締結した。
 協定は、脱炭素先行地域における電力需要家に対し、安定的に再エネ100%電力を供給するとともに、同地域内全体での再エネ自家消費を最大化することで、2030年度(令和12年度)までに民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素排出量正味ゼロの実現と地域コミュニティの活性化に資する事業を実施することを目的とする。
 両者は、上記の目的を実現するため、それぞれの権限、業務、予算の範囲内で次の事項(@安定的な再エネ100%電力プラン実現のための取組A@を目的とするオンサイト及びオフサイトの再エネ電源の開発支援B脱炭素先行地域全体での再エネ自家消費最大化に資する取組C寺社等の文化遺産や商店街を核とする地域コミュニティの活性化に資する取組)を相互に連携して実施する。
 テラエナジーは、再エネの発電設備からの調達を中心に電力調達を行い、安定供給可能な再エネ100%電力プランを実現する。また有する技術や実績等を生かし、文化遺産をはじめとする需要家を集めて再エネ転換を促進する。さらに電力量料金の一部を、地域コミュニティの活性化を目的とする文化遺産や商店街等における取組の活動費として寄付する仕組みを構築し、当該取組を支援する。
 市は、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金等を活用しながら、脱炭素先行地域の取組を推進するため、継続的かつ包括的な支援を行う。
 連携協定の締結式でテラエナジーの竹本代表取締役は「5年間で京都市内の約100ヵ所の寺社仏閣に、環境や景観に配慮した太陽光発電と蓄電池を設置し、それぞれの施設で電気を使ってもらう。これに加えて、余った電力は仮想上の発電所とし、京都市のお客様に提供し、京都市内の再エネ率を高めたい。伏見エリアの商店街等と連携していきたい」と抱負を述べた。
 京都市の門川市長は、伏見エリアを中心とした文化遺産群・商店街・住宅エリア等が国の脱炭素先行地域に選定されたことに触れ、「再エネ電力を供給する事業者を公募し、テラエナジーを選定した。再エネ利用者は最大2・5%を寄付することができる仕組みは大変尊い取組。市としてあらゆる英知を集めて取り組みたい」と決意を述べた。
      ◇      
 市の主な取組をまとめると、文化遺産の脱炭素転換として、伏見稲荷大社、藤森神社、真宗大谷派(東本願寺)伏見地区寺院(東本願寺伏見別院、浄徳寺、光啓寺、専念寺、善通寺、受泉寺)、醍醐寺、妙福寺、大黒寺において、太陽光発電などの再エネ設備・蓄電池、再エネ電力調達を進める(15ヵ所から2030年(令和12年)に100ヵ所。電力需要量10・6GWh、新規再エネ設備0・6MW)。
 伏見商店街エリアの脱炭素転換として、伏見大手筋商店街(加盟店118店舗)、納屋町商店街(41店舗)、竜馬通り商店街(28店舗)の3商店街(187店舗)でソーラーアーケード(全長560m)の整備や各店舗への太陽光パネル・蓄電池の導入、LED照明器具への切り替えなどの省エネ改修を実施する(電力需要量3・6GWh、新規再エネ設備0・6MW)。
 住まいの脱炭素転換として、伏見工業高校跡地・上下水道局用地(3万9100u)で次世代ZEH+を導入した約1000人規模の脱炭素街区を創出する。戸建住宅は100戸(次世代ZEH+他)、集合住宅は300戸(ZEH−M Oriented他)。
 京阪電気鉄道梶i大阪市中央区)と連携し、同校跡地や伏見稲荷大社の最寄り駅となる京阪伏見稲荷駅(伏見区深草)に太陽光発電設備を最大導入するとともに、不足分を再エネ調達し、ゼロカーボンステーション化(駅舎丸ごと脱炭素化)を図る。
 また既存住宅のZEHレベル化改修で市内で100戸を目指す。地元工務店(京都らしい省エネ住宅事業登録事業者等)、大手ハウスメーカーで構成する一般社団法人優良ストック住宅推進協議会(SumStock(スムストック))と業務連携し、既存住宅のリフォーム需要の掘り起こしと合わせたZEHレベル化改修を促進する枠組みを構築。ZEHレベル化するための補助制度を新設する(2024年度(令和6年度)から実施)。
 これらに先行して、左京区岩倉の三宅第一市営住宅跡地でZEH街区を先行して創出する(戸建14戸)。
 住宅群エリアの電力需要量は3・0GWh、新規再エネ設備は1・8MW。
 グリーン人材育成拠点群として、龍谷大学深草キャンパス28施設、立命館大学衣笠・朱雀キャンパス36施設、京(みやこ)エコロジーセンター1施設において、脱炭素化転換する(電力需要量19・8GWh、新規再エネ設備1・2MW)。
 これらを合計すると、電力需要量は36・9GWh、新規再エネ設備8・2MW、省エネ削減効果量は2・9GWhを見込む。
 このほか、脱炭素転換を支える基盤的取組として、市内の小売電気事業者及び発電事業者との連携により「京都広域再エネグリッド協議会(仮称)」を創設し、安定的に再エネ供給を行うための体制を整備する。
 あわせて市遊休地を活用し、民間活力により地域貢献型のメガソーラー(オフサイト太陽光発電)2・6MWを整備する。
 全体スケジュールは2022年度(令和4年度)から2030年度(令和12年度)までの9年間。