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建設経済新聞社
2023/03/13

【京都】公共事業評価第三者委員会で審議 城南団地の現地建替え計画 木造含む4棟建設に約34億円

 3月24日開催の令和4年度第2回京都府公共事業評価に係る第三者委員会において審議される意見聴取対象事業は次の通り。
 事前評価の府営住宅城南団地整備事業は、昭和41・42年度建設の現団地敷地内で建替えを行う計画。現入居者に仮移転をしてもらいながらの建替えとなるため、工区を3つに区切り、順次建替えを実施。全体計画として現4棟175戸を解体し、4棟110戸を建設する。
 第1期工事で現3、4号棟の2棟80戸を解体し、府内産木材によるW造3階建の2棟50戸を建設。第2期工事以降で2棟95戸を順次解体し、府内産木材を活用した5階建の2棟60戸を順次建設する。
 団地敷地外へ落ちる日影の影響を最小限に抑えるため、団地北側では3階建への建替えとする。それによって生み出された余剰スペースに広場や交流スペースを配置することで、入居者や地域住民との交流を促進する考え。
 現団地は、RC造5階建の4棟構成で住戸は2DKの約30u。エレベーターは無し。入居世帯は80世帯で、うち高齢者のみが49世帯、うち子育て世帯が6世帯(令和5年1月現在)。
 建替え後は、W造・RC造3〜5階建の4棟構成を予定。建替え後の住棟の延面積合計は、既存住棟(延7548u)とほぼ同規模の延7500u程度となる模様。
 住戸は2K(約40u)、2DK(約50u)、3DK(約65u)。浴槽は全住戸に設置、これまで無かった給湯器も設置する。電気容量は現行30Aから増量し60A程度とする。エレベーターを設置するほか、段差を無くし、玄関・浴室・トイレに手すりを設置、ドアノブをレバーハンドルにするなどバリアフリー化を図る。駐車場も設置する。
 敷地の用途地域は第一種低層住居専用地域で、第一種高度地区にあたるが、既存住棟は最高高さに係る法規制以前に建てられた既存不適格建築物。建替後の住棟の階数・高さについては、周辺住環境に十分配慮した計画となるよう検討し、関係機関と協議した上で計画を進める考え。
 木造化を含めた府内産木材の活用やZEH水準(建築物エネルギー消費性能誘導基準)への適合等を推進する。
 入居者が団地内で仮移転を繰り返しながらの建替えとなるが、合理的な移転計画を策定することにより、2棟同時に建替えを進め、作業工程の効率化やスケールメリットによるコスト縮減を図る。
 事業着手は令和5年度〜。事業箇所は城陽市寺田林ノ口、深谷、宮ノ谷の敷地面積9907・22u。
 概算事業費は約34億円を見込む。
 総便益(B)の現在価値は36億8770万円、総費用(C)の現在価値は38億9570万円、費用便益比(B/C)は0・95と算出した。
 府は「城南団地の建替えにより、現在の耐震基準に適合する耐震性能の確保やバリアフリー化など、安心・安全な住環境の形成を図ることができる。また建替えにより、従来のコミュニティに新たな世代が加わることで、子どもが地域で育まれ、全ての世代にとって暮らしやすいまちづくりを推進することができる」とし、事業着手の必要性が認められるとする方針を第三者委に示す考え。
 なお府はこれまでに測量業務を令和4年9月に入札し、ユーズ(京都市下京区)に決定。履行期限は令和5年3月31日まで。
 また基本計画策定と基本設計、既存施設解体実施設計を行う業務も令和4年9月に入札し、三宅建築事務所(京都市左京区)に決定。履行期限は令和5年3月24日まで。
 令和5年度当初予算案に3億5473万3000円を計上するとともに、限度額11億1400万円の債務負担行為を設定。

      ◇      
国道307号(郷之口)道路整備
新名神ICへのアクセス道路
全体事業費は35億2000万円


 事前評価の一般国道307号(郷之口)道路整備事業は、国道307号本線と新名神高速道路の(仮称)宇治田原ICとを接続するアクセス道路を整備するもの。
 (仮称)宇治田原ICは、新名神本線の整備と併せて西日本高速道路梶iNEXCO西日本)が実施する事業だが、国道307号本線から(仮称)宇治田原IC料金所までの区間については、国の通知に基づき、京都府が実施する事業に位置付けられている。
 事業期間は令和5年度〜令和7年度。事業箇所は宇治田原町郷之口〜城陽市奈島。延長は230m、幅員は16・25m(料金所方向1車線、(仮称)郷之口交差点方向2車線)。計画交通量は3900台/日(令和22年予測交通量)。ランプの種別はA規格(上級道路の区分・第1種)。
 全体事業費は35億2000万円を見込む。
 事業の予定地は、現在、競争馬育成施設のトレーニングコースとなっており、競争馬への影響が懸念されるような振動を伴うボーリング調査や測量等、事業着手に必要となる事前調査を実施することが困難だったため、事業用地を先行取得することとして、都市計画決定範囲内における用地取得協議と競走馬育成施設の移転補償を進めるとともに、競争馬への影響が及ばない位置でのボーリング調査や非破壊試験等の地質調査と測量を実施した。
 この調査結果をもとに令和3年度までに事業費算定が可能となる設計を実施できたことから、このほど事業に着手することとした。
 地質調査の結果、当該地域は過去に盛土により形成された軟弱な地層が広がっていることが判明。この軟弱な地層は、NEXCO西日本による調査結果からも、国道307号本線付近から新名神のランプ部までの広範囲に分布していることが確認できたため、道路築造にあたっては、地盤改良が必要になる。
 地盤改良に必要な事業費は、今回実施した調査結果に基づき算出した。また事業費にはNEXCO西日本が整備する新名神本線部分の事例を参考に必要な対策費を見込んだ。
 総便益(B)は58億2000万円、総費用(C)は31億1000万円、費用便益比(B/C)は1・9と算出した。
 府は「事業は〈高速道路ネットワークへのアクセス〉〈宇治田原町、城陽市のまちづくり支援〉〈工業団地へのアクセス向上〉を目的としているが、令和6年度に予定されている新名神大津JCT〜城陽JCT・IC間の開通と同時に供用することが最も効果的であるため、事業期間を考慮すると、令和5年度に事業に着手する必要がある」等とし、事業着手の必要性が認められるとする方針を第三者委に示す考え。
 再評価の主要地方道宇治木屋線(犬打峠)道路整備事業(宇治田原町〜和束町)、再評価の都市計画道路内里高野道線(一般府道八幡京田辺インター線)街路整備事業(八幡市)は次号掲載。

小倉西舞鶴線街路整備事業
無電柱化し令和6年度の完了目指す


 再評価の都市計画道路小倉西舞鶴線街路整備事業については、新たに無電柱化の推進に関する法律が施行されたことを受け、当該路線が防災上重要な道路(緊急輸送道路)であることから無電柱化を実施することとし、無電柱化を追加した結果、全体事業費が10億円以上となることから、今回、公共事業評価に係る第三者委員会に諮るもの。
 小倉西舞鶴線は、舞鶴市の東西を最短で結ぶ幹線道路で交通量が多く、慢性的な渋滞が発生。今後、事業区間が国土交通省が事業中の国道27号西舞鶴道路に接続することで更なる交通量の増加が見込まれる。
 平成28年12月に無電柱化の推進に関する法律が施行され、国交省が平成30年4月に無電柱化推進計画を策定し、京都府においても令和元年12月に無電柱化推進計画を策定した。
 事業区間は第2次緊急輸送道路で、さらに救急指定病院が位置することから、災害に強い道路が求められている。そのため、電線を地中に埋設し無電柱化することで、台風や地震等の災害による電柱倒壊を未然に防ぎ、緊急車両等の通行を確保する。また事業地の沿道に地域医療に貢献する舞鶴市民病院、救急指定病院の舞鶴赤十字病院及び地域住民の健康を支える中丹東保健所が立地していることから、電柱が通行を阻害すること無く、歩行者や車いす、ベビーカーなど誰もが歩道を広く安全に利用しやすくなるよう歩行空間のバリアフリー化を行う。
 事業期間は平成25年度〜令和6年度。事業箇所は舞鶴市倉谷。延長は320m、幅員は30・0m(4車線化)。幅員構成は中央分離帯4・00m、車道3・25m×4車線、車道と自転車道及び歩道の間の路肩0・50m×両側、自転車道3・00m及び歩道2・50m及び保護路肩0・50m×両側。道路区分は第4種第1級。計画交通量は1万8600台/日(令和22年予測交通量)。
 平成25年度に事業着手し、調査・測量・設計を進めた(〜平成27年度)。平成27年度から令和4年度にかけて用地買収と道路築造工事を実施、令和2年度から4年度にかけて電線共同溝設置工事を実施している。
 全体事業費は当初(平成25年度)の8億8000万円から約6億8000万円増の15億6000万円となる見通し。
 全体事業費15億6000万円のうち用地・補償費は8億3000万円。令和4年度末までの投資事業費(見込み)は13億1000万円(進捗率84%)で、このうち用地・補償費は8億3000万円(進捗率100%/用地買収完了約4000u)。
 増額要因は@無電柱化の推進(電線共同溝の追加)4億2000万円A地質条件の困難性(軟弱地盤対策の実施)8000万円B掘削土の適正な処理(掘削土の適正な処理の実施)6000万円C補償費の増加(補償費が当初の想定より増加)1億4000万円。減額要因は@建設発生土の有効利用(盛土購入予定土を他事業から流用)マイナス2000万円。
 残事業費の総便益(B)は20億5000万円、総費用(C)は2億5000万円、費用便益比(B/C)は8・1と算出した。
 事業の進ちょくの見込みについて「用地買収は完了し、事業区間全体で工事にも着手している。当初想定していなかった軟弱地盤への対策が必要となるなど、事業費が増加しているものの、事業進ちょくの阻害要因は見当たらず、早期完成に向けて引き続き事業進ちょくを図る」とした。
 府は、事業継続とする方針を第三者委に示す考え。