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北海道建設新聞社
2023/03/15

【北海道】衛星測位活用し除排雪 内閣府などが岩見沢市内で実証実験

 衛星測位システムを活用し、安全な除排雪作業、スマート農業の推進へ―。内閣府宇宙開発戦略推進事務局と準天頂衛星システムサービス(本社・東京)は、高精度な測位を実現する準天頂衛星システム「みちびき」の利用で、期待される新たなサービスや技術の実用化を後押しする実証実験を進めている。その一環として、豪雪地帯の岩見沢市の協力を得て、日立造船(同・大阪)が10日、岩見沢市内の雪割り作業で、農業機械自動操舵(そうだ)機器を除排雪ガイダンスシステムに転用する検証をした。
 農機自動操舵システムと除雪ガイダンスシステムは、耕作や降雪と、ともに使用時期が限られるにもかかわらず、通信費やランニングコストなどが高額。北海道は全国に先駆けてRTK基準局を設置し、ガイダンスシステムやロボットトラクターなどにRTK補正値を配信しているが、使用できない季節があったり、基準局の維持管理、ユーザー側の設備、費用負担などが課題となっている。
 こうした問題を背景に、みちびきから発信されるセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)を活用し、各種データを収集するため、走行実証や事業化に向けた調査研究を実施している。
 農機自動操舵システムと除雪ガイダンスシステムの同一端末による活用で、就業人口が減って効率化、省力化が必要となっている農業と、オペレーター不足の除排雪業務の課題解決を図る。
 この日の検証では、御茶の水町北3線(北6号線―北10号線)の未除雪路線の雪割り作業を試みた。ロータリーとドーザ2台の除雪車の各前方、後方と、車内に映像記録・伝送システムを設置。雪割り作業で適用できるか実験し、2台の除雪車からの映像データを個別に受信、表示できることを確認した。
 ロータリーを運転していた北立(本社・岩見沢)の楢山正二さんはオペレーター歴6年で「除雪作業は経験が必要と感じていたが、このシステムがあれば、雪に埋もれている道路地物が分かり、比較的経験が浅いオペレーターでも効率よく対応できるのでは」と感想を語った。4月下旬には農機自動操舵機器の検証も予定する。
 日立造船では「夏は農業、冬は除雪でシェアリングシステムとしての活用を考えている。2023年度の検証を経て、24年度にも社会実装したい」と手応えを感じていた。

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