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建設経済新聞社
2023/03/20

【京都】脱炭素先行地域推進でコンソーシアム設立 伏見エリア中心に全市域を視野

 京都市脱炭素先行地域推進コンソーシアムの設立総会が17日、京都市内で開催。規約と設立当初会員を承認した。
 規約ではコンソーシアムの目的として「国から選定された京都市脱炭素先行地域において、民間事業者間の連携を核に取組を着実に実行し、2030年度(令和12年度)までに民生部門のおける電力消費に伴うCO2排出量正味ゼロを実現する。さらに、地域コミュニティの活性化をはじめ、京都ならではの地域脱炭素のモデルを示し、同取組を市内外に波及させることで、2050年(令和32年)カーボンニュートラルの達成につなげていく」を設定した。
 開会挨拶で京都市の門川大作市長は「伏見エリアを中心としつつ、全市域を視野に入れ取り組む。新たなチャレンジであり、皆様と一緒に進めたい」と決意を述べた。
 コンソーシアムには取組別に7つのワーキンググループ(WG)を設ける(@文化遺産A商店街B住まいC再エネ供給DファイナンスEグリーン人材Fサステナブルツーリズム)。
 各WGのリーダー会員が挨拶。再エネ供給WGからはTERA Energy梶iテラエナジー)の竹本了悟代表取締役(浄土真宗本願寺派慈光山西照寺住職)が「日本的な考え方で環境の取組を進めていきたい。京都から皆様と一緒に未来をつくっていきたい」、住まいWGからは一般社団法人優良ストック住宅推進協議会の齋藤嘉一業務部長が「2008年(平成20年)に任意団体として設立した。大手住宅メーカー10社で活動している。2017年(平成29年)には優良な既存住宅流通の活性化に向け、一般社団法人に改組した。基準を満たす住宅をスムストック(SumStock)として認定している」などと述べた。
 なお市とテラエナジーは8日に「京都広域再エネグリッド構築に関する連携協定」を締結。それぞれの権限、業務、予算の範囲内で次の事項(@安定的な再エネ100%電力プラン実現のための取組A@を目的とするオンサイト及びオフサイトの再エネ電源の開発支援B脱炭素先行地域全体での再エネ自家消費最大化に資する取組C寺社等の文化遺産や商店街を核とする地域コミュニティの活性化に資する取組)を相互に連携して実施する。
 京都市脱炭素先行地域における主な取組の一つ、住まいの脱炭素転換として、伏見工業高校跡地・上下水道局用地(3万9100u)で次世代ZEH+を導入した約1000人規模の脱炭素街区を創出する。戸建住宅は100戸(次世代ZEH+他)、集合住宅は300戸(ZEH−M Oriented他)。

伏見工業高校跡等の約3・9f
土地活用事業者選定へ


 事務局の市からは、工業高校跡等について「今後、土地活用事業者を選定する」と見通しが示された。
 コンソーシアムの正会員のうち、住まいWGは潟Aイビ建築、株\見工務店、且R中商事、一般社団法人優良ストック住宅推進協議会。
 脱炭素先行地域の趣旨に賛同し、取組を支援する事業者等の一般会員は、大阪ガス梶Aオムロンソーシアルソリューションズ梶A関西電力送配電梶A京阪電鉄不動産梶A鰍fSユアサ、積水化学工業梶A積水ハウス梶Aニチコン梶A日新電機梶A阪急阪神不動産梶A鰍oLUS SOCIAL。
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 このほかの脱炭素先行地域における主な取組をまとめると、文化遺産の脱炭素転換として、伏見稲荷大社、藤森神社、真宗大谷派(東本願寺)伏見地区寺院(東本願寺伏見別院、浄徳寺、光啓寺、専念寺、善通寺、受泉寺)、醍醐寺、妙福寺、大黒寺において、太陽光発電などの再エネ設備・蓄電池、再エネ電力調達を進める(15ヵ所から2030年(令和12年)に100ヵ所。電力需要量10・6GWh、新規再エネ設備0・6MW)。
 伏見商店街エリアの脱炭素転換として、伏見大手筋商店街(加盟店118店舗)、納屋町商店街(41店舗)、竜馬通り商店街(28店舗)の3商店街(187店舗)でソーラーアーケード(全長560m)の整備や各店舗への太陽光パネル・蓄電池の導入、LED照明器具への切り替えなどの省エネ改修を実施する(電力需要量3・6GWh、新規再エネ設備0・6MW)。
 京阪電気鉄道梶i大阪市中央区)と連携し、同校跡地や伏見稲荷大社の最寄り駅となる京阪伏見稲荷駅(伏見区深草)に太陽光発電設備を最大導入するとともに、不足分を再エネ調達し、ゼロカーボンステーション化(駅舎丸ごと脱炭素化)を図る。
 既存住宅のZEHレベル化改修で市内で100戸を目指す。地元工務店(京都らしい省エネ住宅事業登録事業者等)、優良ストック住宅推進協議会と業務連携し、既存住宅のリフォーム需要の掘り起こしと合わせたZEHレベル化改修を促進する枠組みを構築。ZEHレベル化するための補助制度を新設する(2024年度(令和6年度)から実施)。
 これらに先行して、左京区岩倉の三宅第一市営住宅跡地でZEH街区を先行して創出する(戸建14戸)。
 住宅群エリアの電力需要量は3・0GWh、新規再エネ設備は1・8MW。
 グリーン人材育成拠点群として、龍谷大学深草キャンパス28施設、立命館大学衣笠・朱雀キャンパス36施設、京(みやこ)エコロジーセンター1施設において、脱炭素化転換する(電力需要量19・8GWh、新規再エネ設備1・2MW)。
 これらを合計すると、電力需要量は36・9GWh、新規再エネ設備8・2MW、省エネ削減効果量は2・9GWhを見込む。
 このほか、脱炭素転換を支える基盤的取組として、市内の小売電気事業者及び発電事業者との連携により「京都広域再エネグリッド協議会(仮称)」を創設し、安定的に再エネ供給を行うための体制を整備する。
 あわせて市遊休地を活用し、民間活力により地域貢献型のメガソーラー(オフサイト太陽光発電)2・6MWを整備する。
 全体スケジュールは2030年度(令和12年度)。