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日本工業経済新聞社(埼玉)
2023/03/23

【埼玉】委託関係8団体 最低制限価格導入を要望

 埼玉県内の市町村において、測量・地質調査・設計等の委託業務入札でおよそ半数の市町村が最低制限価格制度を導入していない。そうした中、埼玉県建設産業団体連合会(埼玉建産連、星野博之会長)に加盟する委託関係6団体と2つの賛同団体が団結して市町村へ働きかけた結果、直接訪問した5市のうち2市の市長がその場で導入を表明、その他の3市長も前向きに検討するとの回答を得るなど成果をあげた。
 17日の会見で埼玉建産連が明らかにした。埼玉建産連に加盟する委託関係6団体は、埼玉建築士会(江口満志会長)、埼玉県建築士事務所協会(佐藤啓智会長)、埼玉建築設計監理協会(神田廣行会長)、埼玉県測量設計業協会(及川修会長)、埼玉県地質調査業協会(越智勝行会長)、埼玉県設備設計事務所協会(金子和已会長)。賛同2団体は、埼玉県建設コンサルタント技術研修協会(安田陽一会長)、日本補償コンサルタント協会関東支部埼玉部会(長谷部正美会長)。
 国土交通省の資料によると、2021年7月時点で、県内63市町村のうち、およそ半数の31市町村が最低制限価格制度を導入していない。一方、工事についてはすべての市町村で導入している。このような状況に危機感を持った埼玉建産連会員の委託関係団体6団体と賛同団体2団体の会長らが、埼玉建産連主導のもと昨年9月から4回の意見交換を行い、検討を進めてきた。
 まず、制度を導入していない市町村に対し、今年1月19日に要望書を郵送。制度を導入していない12市のうち、県の担当者が訪問し、制度導入を要請しても感触がよくなかった5市の市長に対しては、1月から2月上旬にかけて県建産連が直接訪問。要望では業務の品質確保の観点に加え、働き方改革を促進する観点からも、委託業務において最低制限価格制度の導入を強く求めた。その結果、2市の市長がその場で導入を表明。その他の3市長からも、前向きに検討するとの回答を引き出した。
 17日の会見で星野会長は「最低制限価格制度が導入されていないことで、現実に予定価格の3割程度で落札されていることもあり、公共施設の品質確保が著しく損なわれることになる。また、委託業界の健全な会社経営、人材確保に影響を及ぼし、業界の衰退につながるものと考えている。こうした状況に危機感を抱き、この課題に立ち向かうため建産連会員の委託6団体に加え、賛同2団体の会長が一致団結して検討を重ねてきた」とこれまでの経緯を説明。さらに「委託業務関係を含めての建設業界だ」として、業界全体を良くしていくためにも委託業務への最低制限価格制度導入の重要性を強調した。神田会長は「一般競争入札で最低制限価格がないということが、企業経営に厳しい影響を与えている。最低制限価格が導入されなければ、品質の良いものを提出できなくなる」と危機感を示した。
 埼玉建産連加盟の委託団体が、共通の課題に対して団結して要望活動を行うのは今回が初めて。埼玉建産連会員は建設産業に関わる21団体と2団体の賛助会員で構成されているが、それぞれ業種ごとに課題が異なることも多く、今回、委託業務に関わる8団体が団結して直接要望したことは画期的で、埼玉建産連にとっても大きな意義があったと言える。今後も建産連会員の中で具体的な共通の課題が発生した時や、会員が少ない等、単体での要望活動が難しい団体などは、団結して行動する機会も増えるものと見込まれる。埼玉建産連では、8月をめどに要望効果を検証し、次のステップへ活動していく考えだ。