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北陸工業新聞社
2023/04/07

【富山】「未来つくる学びの杜」に/富山市水橋義務教育学校・講評/日本海建興G

 富山市の(仮称)水橋地区義務教育学校整備事業PFI事業者選定委員会(委員長・中村和之富山大学副学長)が最優秀提案に選定した「富山の底力」(代表企業=日本海建興、構成企業=三四五建築研究所、福見建築設計事務所、石坂建設、近藤建設、富山総合ビルセンター、協力企業=善重建)」の審査講評が、6日までに公表された。
 内容は次の通り(原文のまま)。
 事業計画については、PFI事業の代表企業としての実績はないものの、構成企業として参画した豊富な実績をもとに、資本金・内部留保金ともに十分に確保されており、複層的かつ具体的なセルフモニタリングによる事業継続の提案が評価できる。
 施設計画については、「水橋の未来をつくる学びの杜」とした設計コンセプトを掲げ、建設コストが上昇する中、汎用品を上手に活用して、建設費の低減や維持管理コストの縮減につなげていた点が、高く評価できる。配置計画については、東西にまっすぐに延びる廊下に管理諸室、特別教室、地域開放を含む体育関連諸室の各ゾーンを、また、これに並行して東西に延びる棟として普通教室ゾーンを配置し、それらを3か所の廊下で結ぶ施設提案であり、見通しが良く、人の動きが感じられるシンプルな計画が評価できる。
 また、これらの中心に異学年交流の拠点として位置付けた図書室、メディアセンター及び階段教室や職員室等の主要機能が3層にわたる立体的な配置がなされていることで、どの学年からも利用しやすい計画となっていること、また、将来的な用途変更の際にも機能低下することなく利用でき、段階的な部活動地域移行に対応できるなど、時間経過を意識した具体的な提案であることが高く評価できる。
 その他、災害時における避難所として施設を総合的に運営する提案や地域特性を生かした施設計画、セキュリティや学校管理に配慮したまっすぐな動線計画、防災安全計画における複数の避難ルート設定等の提案が高く評価できる。
 建設・工事監理・解体撤去・杭撤去については、工期を短縮するスケジュール計画、近隣対応窓口の一元化や地元町内会から関心表明を取得するなど、近隣等への配慮について評価できる。
 什器備品調達・設置については、教科の特性にあわせた什器備品の提案、また、引越については、学校における通常業務への支障を軽減する具体な提案について、評価できる。
 維持管理業務については、外構維持管理指標の導入等の独自性の高い提案、長期修繕計画及び経常修繕の具体的な提案が評価できる。
 入札者独自の提案については、生徒や地域の参画等を通じた地域社会への貢献、地元企業のみが参画することによる地域経済への貢献が評価できる。
 また、上記の内容について事業実施の確実性や意欲的な事業推進体制、より良い事業実現に向けた市との協議実施の意向や柔軟性について、プレゼンテーションの場において確認できたことも高く評価できる。
 入札価格に係る評価においては、特に高い評価を得ており、上記の審査事項に係る評価と併せて総合的に高く評価できる。
 選定された同グループにおかれてはそのノウハウを最大限に活かして、提案内容を確実に実現するとともに、市におかれては業務水準の維持・向上のための継続的なモニタリングを実施されたい。さらに、市と事業者間で良好なパートナーシップを構築し、この学校に通う児童生徒や地域住民等に末永く愛される学校を実現していただきたい。
 また、提案時点で具体的な検討がなされていなかった部分も見られたことから、それらの点に係る詳細な検討・検証を行うとともに、特に以下の事項についての対応・工夫・配慮等について、選定委員会として要望する。
▽諸室配置、フロア構成については、前期・中期・後期のブロック分けやインクルーシブデザインの観点で、学校との協議を十分行ったうえで現状の提案内容を精査・見直し等の対応をとっていただきたい。
▽事業の安定的な継続及び確実な遂行の観点から、代表企業のみならず、参画企業各社がBCPを策定するよう配慮していただきたい。
▽富山市における先導的な義務教育学校として、高いサービス水準による事業実施を期待するところである。
▽提案された内容により想定された教育的効果については、開校後においても、市と協働して検証していただきたい。

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