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北海道建設新聞社
2023/04/11

【北海道】石狩市が23年度に都市型ロープウェー導入調査へ

 石狩市は、新たな公共交通として地域の再生可能エネルギーを用いた都市型ロープウェーの建設に向けて、2023年度に導入可能性調査に取り組む。上空を動くため冬期間の移動手段確保にもつながるとみていて、市民の通勤・通学など利便性向上を図る。可能性調査の受託事業者を早ければ今月下旬に公募型プロポーザルで募り、結果を基に24年度は官民連携事業に参画する民間企業を呼び掛ける。過去、市で事業費の関係で実現に至らなかった軌道系交通導入の検討が、再度動き出す。
 石狩市は、軌道系交通の導入を実現するため、1985年にモノレール構想を発表し、建設費は1200億円に上っていた。95年に鉄道を含む構想に見直し、当時の建設費は鉄道で約500億円、モノレールで約850億円を試算。最終的には、04年度に採算確保が困難という結果に至り、導入を断念した。
 こういった経緯や近年の目覚ましい交通技術向上を踏まえ、市内でどのような軌道系交通が導入できるか、あらためて調査に乗り出す。国土交通省の「先導的官民連携支援事業」による補助金を活用し、年度内に結果を取りまとめる。
 都市型ロープウェーの建設を主軸に置く。地域の再生可能エネルギーを活用し脱炭素型を目指すとともに、将来的には軌道系のルートで電力網を構築し、近隣市町村への供給につなげたい考えだ。
 近年では21年4月に横浜市みなとみらい21地区で、最新式都市型循環式ロープウェー「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマ・エア・キャビン)」がオープンしている。
 17年に横浜市が都心臨海部の回遊性向上に関する施策として募集。選ばれた泉陽興業(本社・大阪)が総事業費約80億円を投入し、JR桜木町駅と新港地区の運河パークを結ぶ路線を整備した。延長は往復約1260mで、高さは約40m。景色を楽しみながら移動できる観光振興施設として利用されている。
 泉陽興業担当者はロープウェーの運転に風の影響はあるものの、冬期間の移動手段として有効という。石狩市の担当者も、雪で道路が混雑してもロープウェーは上空にあるため影響を受けにくいとし、積雪寒冷地の交通手段のモデルケースにつながると期待している。
 石狩市の再エネを生かした事業に対し、田村亨元北海商科大教授は「石狩市には物流センターが集積し、データセンターも進出する予定。今回の都市型ロープウェーに絡め、MaaSや再生エネの利活用をどのように展開するか腕の見せ所だ。国は24年度予算の概算要求に向け、こういった取り組みを各自治体に促している。他自治体にとっての求心的役割を担うのでは」と話している。