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建通新聞社(神奈川)
2023/04/12

【神奈川】横浜市 根岸住宅地区、返還後早期事業化へ

 横浜市政策局は、米軍施設「根岸住宅地区」で国の原状回復が進み返還が現実的になってきたため、返還後の都市基盤整備に向けて計画を深度化する。跡地利用調査検討を日本工営都市空間神奈川事務所(横浜市中区)に委託し、2024年3月29日の履行期限で進める。国有地と民有地が混在し、都市基盤インフラが未整備であることから、土地区画整理事業による整序を想定。地権者で構成する協議会の支援を実施する他、21年3月に策定した基本計画の土地利用計画を精査する。
 根岸住宅地区はJR根岸駅の北側約1`、市営地下鉄吉野町駅の南側約1`に広がる約43fの米軍施設。所有者の内訳は、国有地が約27f、民有地が約16f(権利者数は約180名)、市有地が約0・03fで、国有地と民有地がモザイク状に分布する。米軍施設だったため道路や都市インフラは整備されているが、横浜市の基準に合う道路や公園、上下水道などのインフラが未整備。また、周辺駅から距離がありアクセスが悪いといった課題がある。
 返還後、市は土地区画整理事業による整序を行い、まちづくりに向けた基盤整備を行うことを想定している。施行者が組合施行となるか公共施行となるかは未定。現在、地権者で構成する「米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会」の活動を支援している。これまでに協議会がまとめた「まちづくり基本計画」を踏まえ、21年3月に「根岸住宅地区跡地利用基本計画」を策定し、土地利用計画(ゾーニング)をまとめた。
 地区は三つのゾーンに分ける。「文教ゾーン」には、大学施設の建設を想定し、国有地を集約する。再整備を検討している横浜市立大学医学部・付属2病院などの最有力候補地としている。「住宅地等ゾーン」には、低層住宅を主とし、一部に中層住宅の立地を想定。「森林公園ゾーン」は、隣接する根岸森林公園の拡張用地とする。
 全域で公園などの都市インフラをはじめ、福祉施設や消防施設などの公共・公益施設、生活利便施設の配置を検討する。さらに次世代技術の研究開発を促進するため、市立大学以外の教育施設の誘致も計画する。
 地区のほとんどは、第1種低層住居専用地域。病院や生活利便施設などの建設を見据え、用途地区の変更や地区計画の設定を検討しており、詳細を詰める。
 返還については、19年11月に国による原状回復作業の実施を日米間で合意し、現在、南関東防衛局が残置建築物の除却を進めている。作業完了後に、日米間で返還交渉の上、合意を得て返還されることになる。
 返還後はまず環境影響評価と都市計画手続きに入り、都市計画決定後に都市基盤整備に着手。10〜15年程度で土地利用を開始する計画だ。

提供:建通新聞社