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北陸工業新聞社
2023/04/28

【石川】第2滑走路現誘導路付近が優位/小松空港中期ビジョン策定委/−県−

 石川県の小松空港中期ビジョン策定検討委員会(委員長・山内弘隆一橋大学名誉教授)の第4回会合が27日、県庁で開かれ、前年度に日本空港コンサルタンツにより行われた第2滑走路に関する基礎調査の概要が事務局から示された。
 それによると、第2滑走路は現滑走路から海側へ向けて中心線間隔がそれぞれ210メートルの「A案」、760メートルの「B案」、1310メートルの「C案」の3案で検討。長さは現滑走路と同等で、大型機の離着陸が可能な2700メートルで計画した。現滑走路を自衛隊機用に、第2滑走路を民航機用に使い分ける。
 現滑走路からの間隔が離れたB・C案は同時着陸などが可能となり滑走路の処理能力が向上するが、整備に際し住宅や工業団地の移転、北陸自動車道の付け替えや海上埋め立て工事が必要となり周辺環境への影響が大きいことから、A案での空港施設の配置案を優位とした。出席した委員からもA案が有力との意見が大半を占めた。A案での滑走路処理能力は現滑走路の約1・2倍と見積もっている。
 供用開始から40年を経過した空港ターミナルビル(国内線約1万5000平方メートル、国際線約7900平方メートル)をはじめとする空港施設の配置について事務局が示した案は(1)現状の空港用地を極力生かした「セットバック案」(2)空港東側の現防衛省用地を活用した「東側展開案」(3)小松市による安宅新土地区画整理事業用地を活用した「安宅新地区利用案」の3案。それぞれ▽工期▽工期中の旅客への影響の有無▽区画整理事業への影響の有無▽概算事業費―などが提示された。
 (1)案は、工期約7年、旅客への影響あり、区画整理事業への影響なし、概算事業費約360億円(うち用地約8億円)。
 (2)案は、工期約7年、旅客への影響なし、区画整理事業への影響なし、概算事業費約370億円(うち用地約23億円)。
 (3)案は、工期約6年、旅客への影響なし、区画整理事業への影響あり、概算事業費約370億円(うち用地約21億円)。このうち(1)案は工事期間中の搭乗がボーディングブリッジ(搭乗橋)の代わりにバス輸送になるなどの影響が生じる。
 ターミナルビルについては、国際線ロビーのスペース不足や飲食・物販の充実度の低さが現状の課題とし、将来的に施設の更新や空港運営の民間委託について、さらなる検討を必要とした。すでに民間委託を行う先行事例の場合、国交省への要望から運営開始まで約3〜4年かかるという。
 委員会では、利用者がコロナ禍前の水準にほぼ回復した国内線のさらなる利用促進と、北陸新幹線の敦賀延伸後の利用維持に向けた取り組みを継続して行うことを改めて確認した。

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