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建設経済新聞社
2023/05/08

【京都】八幡排水機場の全面改修 事業費17億8000万円を投入

 京都府は、八幡市八幡森垣内の八幡排水機場について、全面改修を行う農村地域防災減災事業(農業用河川工作物等応急対策事業)に着手する。
 八幡排水機場の受益地は、昭和3年〜4年、19年〜24年の府営事業による排水機場の設置、排水幹線の開削を経て排水改良が一定なされた地域だが、降雨等の自然条件の変化等により、農地の湛水被害が増加してきたことから、これを防止するために、既設の旧排水機場に併設して、昭和35年〜38年に湛水防除を目的に府営事業により現在の八幡排水機場が建設された。
 一方、市街地においても湛水被害が増加してきたことから、昭和38年度に当時の建設省において、大谷川内水対策事業計画が策定され、これに基づき、1期事業として改良区管理の排水機場に併設して、昭和39年〜40年に建設省管理の八幡排水機場が建設され、さらに2期事業として改良区の旧排水機場を改修する形で、昭和58年〜平成4年に建設省管理の新排水機場が建設された。これにより、現在、改良区管理、国土交通省管理を合わせて、総排水量63m3/sの排水能力を有し、農地・市街地を含む地域の湛水防除を担う重要な排水機場群を形成している。
 その一翼を担う改良区管理の八幡排水機場は、築造から60年近くが経過し、耐用年数を超え、機能低下はもとより突発的な機能停止により地域に湛水被害を生じさせる恐れがある。さらに樋函においては、中央部で沈下及びクラック、吐出水槽との接合部では段差が生じて脆弱化しており、これを原因とした河川堤防の決壊により、農用地、住宅、公共施設等に被害をおよぼすことが予想されるため、農村地域防災減災事業(農業用河川工作物等応急対策事業)で早急に施設の全面改修を行う計画。
 八幡排水機場は、八幡市中心街を集水する一級河川大谷川から一級河川木津川に排水する施設で、集水面積は340f。隣接する国交省の排水機場と同時に木津川に排水している。
 改修計画によると、[排水ポンプ]立軸斜流ポンプφ1200×2台(排水量7・0m3/s)、(原動機)ディーゼルエンジン(ラジエーター冷却)440kw×2台、[樋函](BOX)W2・3×H1・8、L41・3m(うち36・0m、管更生工法)、[付帯設備]除塵機設備、流入工、吸水槽、建屋、樋門、吐出水槽、放水路一式、[操作盤]操作盤、監視システム一式、[仮設工]進入路工L1・5q(河川管理道、敷鉄板B3・5m)。
 令和5年に事業着手し、10年の完了を予定。工程表によると、測量・設計や地質調査等、河川協議・道路協議・地元協議、用地買収補償等を経て、令和6年に工事用道路、旧詰所撤去、6〜7年に堤外工事(樋函更生、樋門改修、護岸補修)、7〜9年に新機場工、流入工、8〜9年に建築工事、8〜10年に機械・電気・水管理設備、9〜10年に旧機場撤去、新吐出水槽工、10年に樋函延長、旧吐出水槽撤去切替工及び新詰所建築、場内整備工を予定。
 工事では、施工範囲を最小限にとどめ、工事に伴う濁水の発生による水質への影響を確認し、泥水などを直接河川に排水しないよう沈殿池などによる濁水を軽減させる対策を行う。また、周辺で確認された注目すべき種や特定外来生物に関する情報を工事関係者に周知し、施工場所に希少な動植物が確認された場合は適宜保全等の対応を検討する。
 環境配慮事項として、整備対象の排水機場北側の水路(放水路)の下流端にタコノアシを確認。工事の際はタコノアシの生育箇所周辺の改変を避けることが必要。確認箇所は工事範囲外だが、仮設物の設置場所や機材の搬入経路を検討する際に一定の配慮が必要と考えられるとした。
 また、木津川の堤防上や河川敷にも重要種を含む様々な動植物が生育・生息していると考えられるため、工事範囲を最小限にとどめる必要があるとした。
 事業費は17億8000万円を見込む。内訳は工事費15億6220万円、測量試験費1億9180万円、用地買収補償費2600万円。
 総便益額/総費用(B/C)は9・23と試算した。
 なお農林水産省は令和5年度当初予算に係る公共事業の箇所別予算額において、補助事業として、農村地域防災減災事業(八幡排水機場)に3600万円を盛り込んだ。