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西日本建設新聞社
2023/05/18

【熊本】五木村の振興計画決定 国・県・村の3者で確認

 国が川辺川に計画している流水型ダム建設に伴い、貯水時に村の一部が水没すると想定される五木村の新たな振興策がまとまった。国、県、村による3者が合意したもので、15日に五木村役場で木下丈二村長、岡本精二議長、蒲島郁夫県知事、藤巻浩之九州地方整備局長らが出席し、確認式があった。県は今後20年間で、約100億円規模の財政支援を行う。
 新たな振興策を巡っては、昨年6月に蒲島知事が流水型ダムを活用した取り組みを盛り込み住民に説明、同10月には計画案を示した。しかし、「流水型ダムを容認するかの判断に至っていない」とする村側が難色を示し、合意に至っていなかった。このため、県が「流水型ダムを踏まえた新たな振興への対応」など流水型ダムという項目や文言を削除、合意にこぎ着けた。
 確認式で木下村長は、村の現状について「ダムに翻弄され、人口減少と少子高齢化が進み、存亡の危機にある」と指摘。県に対し「振興計画を迅速かつ確実に推進するため、人的支援と村民への説明会の開催をお願いしたい」、国には「流水型ダムの構造や試験湛水の具体的な内容等をわかりやすく丁寧に説明し、村民の意見を聞いてほしい」とそれぞれ要望した。流水型ダムについては「容認するかどうかの判断には至っていない」と従来の姿勢を繰り返した。
 蒲島知事は「ダムに関して2度の相反する表明を行った私には責任がある」とし、「村の苦難の歴史を受け止め、これまで以上の責任と覚悟を負う。村の振興は県政の最重要課題で、県庁を挙げ時間的緊迫性をもって取り組みを推進する」と応じた。
 藤巻局長も「過去の経緯等も踏まえ、決意を新たにした。出来るだけ早期に、ダムの構造や環境に与える影響等についてお示しできるよう検討を進め、村民の方への丁寧な説明に努める」と応じた。
 新たな振興計画の基本理念は、「誰もが安全・安心に住み続けられ、若者が集まるひかり輝く$Vたな五木村」。今年度から5年間を第1期とし、概ね5年ごとに計画全体を見直す。具体的な事業については、毎年度に実施計画を策定する。計画の実効性を確保するため、国、県、村による「協議する場」も毎年度開く。
 五木村振興計画の四つの方向性と主要な取り組みは次のとおり
【方向性1】
 生涯にわたり住み続けられる医療・福祉・教育の推進=@生活拠点の集約化A歴史文化交流館展示替Bタブレット端末による住民生活向上CICT教育の推進
【方向性2】
 豊かな恵みを生かした持続可能な産業と雇用の創出=@森林資源を生かしたモデル林整備A太陽光・小水力発電の整備B砂防堰堤等に堆積した流木や間伐材等を活用したバイオマス利用C空き家の利活用推進
【方向性3】
 新たな時代を見据えた安全・安心を確保する生活基盤の整備=@持続可能な通信基盤整備A光ファイバーケーブル敷設B新たな平場と住まいの確保C水道施設の改修・維持管理D宮園地区河道整備、竹の川地区宅地嵩上E宮園・三浦地区を中心とした治山事業F直轄砂防事業G国道445号(九折瀬工区、上下坂工区、美里・山都方面)と県道宮原五木線(河俣工区、五木村管内、椿工区)の整備H付替村道(逆瀬川)の未開通区間整備
【方向性4】
 豊かな自然やこれまで整備した施設等を生かした新たな振興=@頭地・高野地区のグランドデザイン策定A宮園地区などの拠点整備B道の駅の施設改修。

提供:西日本建設新聞社
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