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日刊建設タイムズ社
2023/05/19

【千葉】建設業の必要性再認識/県南部地震で協力要請/菰田直典・災害・建設業担当部長就任インタビュー

 4月1日付の人事異動で県県土整備部災害・建設業担当部長に就任した菰田直典氏が、日刊建設タイムズの単独インタビューに応じた。災害に強い道路ネットワークの構築や河川整備の着実な進捗に取り組む構え。11日に県南部を震源とする地震が発生し、木更津市で最大震度5強が観測されたことを受け、千葉県建設業協会の君津支部と夷隅支部にパトロールの実施を協力要請。被害状況の迅速な把握につながり、「建設業の力が必要不可欠であるということを改めて認識した」という。

 ――千葉県の印象について。
 菰田 自然豊かな地域でたくさんの魅力があり、観光産業、農業、漁業が盛んである一方、空港、港湾、また、優れた都市機能が集積しており、ポテンシャルの高い県だと思っている。それをさらに生かしていかなければならない。

 ――就任に際しての抱負・展望は。
 菰田 自然災害から生命と財産を守り、社会経済活動を支えるインフラの整備にしっかりと取り組んでいくことが重要。ハード対策とソフト対策を組み合わせ、デジタル技術を取り入れながら各種施策を進めていきたい。

 ――防災・減災に寄与する取り組みは。
 菰田 災害に強い道路ネットワークの構築が必要。県では、銚子連絡道路や長生グリーンラインなどの今年度開通予定区間の整備を進めるとともに、北千葉道路や首都圏中央連絡自動車道など国の事業にも協力し、高規格道路を構築していく。また、河川の整備を着実に推進する。特に一宮川では、2019年10月に一宮川流域において甚大な浸水被害が生じたことを受け、第2調節池の増設を年度内に、中流域の河道拡幅整備などを24年度までに完成させるため、着実に事業を進めていく。さらに、流域治水についても取り組むとともに、
危機管理型水位計や河川監視カメラの設置により、防水体制の強化を進める。

 ――建設分野において、災害復旧にも寄与するデジタル技術の導入が進んでいる。
 菰田 県では、3次元データ測量を試行導入しているほか、北千葉道路の整備においてBIM/CIMモデルを活用した詳細設計の試行を行っている。3次元測量で取得したデータを設計から管理までつなげていく取り組みを進めていきたい。ドローンも活用していきたい。

 ――建設業の働き方改革について。
 菰田 週休2日制の普及・浸透に向け、昨年10月から、予定価格の段階で4週8休の経費を見込むこととした。発注者からも積極的に週休2日制を普及させる取り組みを行っている。さらに、時間外労働規制の適用に向け、適正な工期設定、債務負担行為の活用による施工時期の平準化などを推進していく。工事の従事者の処遇改善、資材や機材の効率的な運用につながるため、平準化を進めていく。生産性の向上に有効なICT活用工事について、工種の拡大に取り組んでいる。建設業と一緒になってデジタル技術の導入を進めたい。

 ――資材価格高騰への対応は。
 菰田 スライド条項を適用してもらえるよう、説明動画を作成、公表している。引き続き、制度について理解が深まるよう取り組んでいく。また、積算において、今年度から毎月、単価改定を行うこととし、最新の単価を予定価格に反映できるよう努めている。

 ――11日に、県南部を震源とする最大深度5強の地震が発生した。
 菰田 千葉県建設業協会の君津支部と夷隅支部には、情報収集や被害状況の確認などのためパトロールを協力要請した。初期の情報収集が重要となる状況で迅速に動いていただいたことで、建設業の力が必要不可欠であるということを改めて認識した。

 ――地域の建設業に対する期待は。
 菰田 平常時のインフラ整備や維持管理はもとより、災害時においても建設業の力が欠かせない。大事なパートナーであると認識している。建設業界が持続的に発展していくことが重要であり、建設業の魅力発信についてわれわれも一緒に取り組んでいきたい。引き続き、情報共有しながらさまざまな施策に取り組んでいくとともに、千葉県建設業協会をはじめとする業界団体との意見交換を通じて、要望に対し、できることから対応していきたい。

【略歴】
 こもだ・なおのり(57歳)
 いすみ市生まれ。1990年3月、中央大学理工学部土木工学科卒業。同年4月長生土木事務所技師として入庁。成田土木事務所調整課長、東葛飾土木事務所野田出張所長、県土整備部道路計画課副課長、県土整備部県土整備政策課副課長、県土整備部道路計画課長、県土整備部次長を経て、4月1日から現職。休日は稲毛海浜公園や幕張海浜公園付近をウォーキング。劇場版「名探偵コナン」(全26作品)は欠かさず鑑賞している。「人の話しを聴きながら、積み重ねていく」が信条。

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