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北陸工業新聞社
2023/05/24

【富山】分かりやすい国家資格に/JIA登録建築家制度を移行/対話集会/北陸支部大会2023

 「3会が一丸となって取り組まないといけない。専攻建築士と登録建築家の問題は難しい」(堂田重明北陸支部長)、「新築だけでなく、街並みの修復で頼られ、貢献している建築家もいる。そういう人も受け入れるべき」(徳田義弘富山地域会長)―。20日に富山市民プラザで行われたJIA北陸支部大会2023。JIAの佐藤尚巳会長との対話集会では資格制度を巡って、活発な意見交換が繰り広げられた。
 はじめに北陸支部における資格制度についてのアンケート調査の結果が報告された。回答率は42・7%で、「正会員のメリット」では7割強が「感じている」としたものの、「登録建築家制度」には「認知度が低い。社会一般に分かりにくい」とし、JIA自体の「社会へのPR、広報活動が不足している」との指摘があった。
 佐藤会長は資格制度の分かりずらさとして「登録建築家制度の行き詰まり感に加え、登録建築家制度と(建築士会の)専攻建築士が類似していて分かりにくいことから、明快な制度への移行が望ましい。資格を取得し、それを継続していく必然性が大切」としたほか、新資格制度として「豊富な経験、継続的研さん、職業倫理を担保し、国交省に対し、コンペやプロポーザルでの要件化、建築士会や建築士事務所協会の賛同を得て国家資格にするとともに、分かりやすい呼称も必要」などと強調。「衰退方向から、社会に役立つ方向に持っていかなければならない」と訴えた。
 その一方、建築設計業界を取り巻く社会情勢が大きく変化しており、「これまでUIA基準に当てはまる建築家像を理想にしていたが、大工からゼネコンが生まれた日本社会の特殊性をはじめ、昨今の物価上昇に伴うコスト管理と工期遵守の観点から設計施工が求められている。そんな中、建築家が関われる領域を増やしていくため、建築士会にも働きかけていきたい」と力を込めた。
 意見交換では名誉会員で元北陸支部長の水野一郎氏が「先日、能登地方で地震が発生したが、我々の対応はどうか。社会に認知されるようにといいながら、自分の仕事しかしていない。社会との関わり、営みを積んでいかないといけない」、堂田支部長は「建築家はクライアントがいないと成り立たない。この機会に考え直すべき。(UIAのスタンスから)日本流に行動し、認知される国家資格を」、徳田富山地域会長は「(既存の資格制度でなく)脱炭素などの新しい目標を掲げるべき」と述べた。
 若手正会員からは「士会、事務所協会、JIAと横並びで、それぞれの会の意義を確認している」「子育て世代はいろんな行事や役割があって、協会活動との両立が大変」「CPDのポイントチェックがあいまい。ウエブ会議もCPD単位の対象にすべきではないか」などの意見が出された。
 佐藤会長は「建築家として災害時に何ができるか。市民に寄り添い、まちの中に入り込んで欲しい」「次が見えるまでは登録建築家制度を続けるが、必然性がある資格制度にしたい」「JIAが設計の仕事を独占するのは無理がある。謙虚に業務を磨いていくこと」との認識を示した。

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