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秋田建設工業新聞社
2023/05/25

【秋田】下新城再エネ団地の電力供給調査/電源確保に向け発電手法検討

 県クリーンエネルギー産業振興課は、秋田市下新城に整備する再エネ工業団地「下新城地区工業団地(仮称)」に安定した電力を供給するため、プロポーザルで調査業務を公告した。長期間、安定価格で再エネ電源を確保するには、工業団地周辺だけでは適地に限りがあるとして、遠隔県有地での発電や系統線経由の発電手法を検討するため、風力・太陽光発電等の適地調査を実施。団地内の発電に必要な大型蓄電池や水素燃料電池等の活用について課題整理も行う。
 下新城地区工業団地(仮称)は、本県の豊富な再生可能エネルギーポテンシャルを生かした「再エネ工業団地」として、秋田県立大学秋田キャンパス南側に約40haを整備するもの。あらゆる産業においてカーボンニュートラルへの対応が求められるなか、豊富な再生可能エネルギーをセールスポイントとした団地を整備し、再エネ電力を求める企業の誘致を進める(詳細は16日付1面参照)。
 昨年度は整備の方向性をまとめたマスタープランを作成し、今月24日にその概要を公表。すべての電力を本県産の再生可能エネルギーで供給し、団地内で自立した電力供給事業を行うとしている。本県の特徴である陸上風力、洋上風力による電力を最大限活用し、団地周辺にある太陽光や水力などの各発電所からも電力を供給。団地内の誘致企業が安定して電力を使用できるよう、管理・運営を行う。
 プロポーザルを公告した調査業務では、マスタープランで掲げた◇想定する電力の確実な確保 ◇電力マネジメント(需給調整と安定供給など) ◇団地内の電力供給事業―の各課題について調査・条件整理などを行い、整備に向けた基礎資料を作成する。分譲開始から2年後には立地企業の工場建設が終わると見込んでおり、令和10年頃の電力供給開始を目指す。
 電力確保に向けては、現時点で稼働している発電所のほか、今後、設置予定の発電所からも供給可能かを調査。団地外からの供給コストも調査し、団地内で必要な発電容量や導入費用を整理する。
 電力供給事業は新たな事業主体を設立して行うことを想定しているが、国内に同様の事例がないため、発電事業者などへの調査を踏まえ、電力の調達価格や需要家ニーズに基づく売電価格などを調査・分析し、団地内の安定した経営が実現するよう、条件などを整理する。
 調査業務の企画提案書提出期限は6月27日。広く知見を求めるため本店所在地などの要件は設けていないが、類似事業の実績があれば評価の対象となる。業務の契約締結は7月上旬を予定している。委託期間は6年3月8日までで、調査結果を踏まえて必要な整備や設備などを検討していく。

提供:秋田建設工業新聞社