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建設経済新聞社
2023/06/19

【京都】木津浄水場で高度浄水処理 粒状活性炭導入で調査実施 高度な知見持つ京都大学と契約

 京都府は、木津浄水場で高度浄水処理の導入に向け、認可変更の届出などを進めるとともに、処理実験による処理性能等の調査を進める。
 木津川から取水している木津浄水場(木津川市吐師。施設能力は4万8000m3/日。給水市町は八幡市、京田辺市、木津川市、精華町)では、平成17年度以降にかび臭(上流の湖沼でかび臭原因生物増殖)[粉末活性炭注入]、平成18年度に油(灯油)(上流の工場の灯油貯蔵タンクからの漏油)[粉末活性炭注入]、平成19年度にかび臭(上流ゴルフ場のため池(かび臭原因生物増殖))[粉末活性炭注入]、平成23年度に油臭(原因不明)[浄水施設の洗浄、送水管の洗管、粉末活性炭注入]などの原水水質悪化の事例が発生している。また主な対応策の粉末活性炭注入は仮設のもので、人力で対応している状況。
 こうした状況等も踏まえ、平成28年12月策定の京都府営水道水安全計画において、府営水道が抱える水質リスクへの対応として「木津浄水場においては、様々な水質変化に対応できる高度浄水処理施設等を最新の知見を踏まえながら検討していく」ことを具体的な対策案として盛り込んでいた。
 令和3年1月開催の京都府営水道事業経営審議会においては、委員として出席した上村崇京田辺市長が、木津浄水場での水質改善に向け高度浄水処理の事業化検討を求める意見を述べ、それに答える形で府の担当者が「木津浄水場に適合した浄水処理の比較検討を業務発注していきたい」と方針を述べた。
 その後、府営水道事務所は、木津浄水場に適合した高度浄水処理について、複数案を比較検討するため、関連業務を発注。令和3年7月に入札し、担当業者を中央設計技術研究所に決めた。業務内容は@現地調査(木津浄水場及び取水口)A既存資料収集・整理B水源の特徴、状況把握C水質特性の確認及び分析D浄水処理方法及び運転状況の確認及び分析E高度浄水処理施設の必要性検討F導入施設の比較検討G粒状活性炭吸着処理に対するプラント実験の必要性検討H照査(資料収集及び現地調査方法の適切性、導入する高度処理施設検討案の適切性、複数の検討案の評価、プラント実験の必要性検討の適切性)。履行期間は令和4年3月25日。
 府入札課は令和5年5月、京都府営水道事業計画等資料作成業務委託の入札を実施。担当業者を東京設計事務所に決めた。業務内容は、▽水需要の予測(約40年)(府営水道と受水市町全体での将来変動を考慮した水需要の予測)▽安定水利権更新に係る申請資料の作成(3浄水場における安定水利権の一括更新(淀川水系)に向けて必要となる申請資料の作成)のほか、木津浄水場への高度浄水処理導入に向けて必要となる認可変更の届出に係る資料の作成。履行期間は令和7年3月25日まで。
 また建設交通部建設整備課は令和5年5月、「木津浄水場への粒状活性炭導入を見据えた処理実験による処理性能等の調査」について、高度浄水処理や淀川水系の水質に関する高度な先進的知見を有し、淀川水系を原水とする他水道事業体で実験プラントを用いた処理性能等に関する調査研究の受託実績など処理実験に関する高い技術力がある国立大学法人京都大学と随意契約した。