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日本工業経済新聞社(群馬)
2023/07/27

【群馬】県建設業協会 3県合同会議開く

群馬県建設業協会(青柳剛会長)、栃木県建設業協会(谷黒克守会長)、茨城県建設業協会(石津健光会長)による3県合同会議が27日、渋川市伊香保町のホテル木暮で開催された。群建協からは2024年4月からの時間外労働時間の上限規制についてと、建設キャリアアップシステムの推進についての2点を議題として提出。栃木県および茨城県建設業協会からのテーマを加えて、建設業の課題全般に亘った議論を行った。
冒頭、群建協の青柳会長は「新型コロナの対応が変わり、経済がしっかりと動き出したが、地域・業種ごとに落ち込みだしてきた状況も浮き彫りとなった」と現況を分析すると「こうした時こそ、しっかりとまとまって地方建設業本来の役割を発信していかなければならない」と訴えた。
栃建協の谷黒会長は「地域建設業が抱える諸課題などの改善が図られ、北関東3県の連携強化となる有意義な会議となれば」と話すと、茨建協の石津会長は「地域固有の課題もあるが、働き方改革など大きな視点で解決しなければならないのは同じ。お互いに解決へ向けた糸口が見つかれば」と見解を示した。
来賓には山本一太群馬県知事の他、後藤剛県建設企画課長、村上誠県契約検査課長、青木崇光国土交通省高崎河川国道事務所長が臨席。山本知事は「北関東3県は抱えている課題も似ている」とし「災害対策は皆さまの力がなくては対応ができない。また、豚熱のたびに埋設作業を協会の皆さまに協力をいただいた。3つの県で色々な形で、それぞれ切磋琢磨し地域に貢献していただきたい」と話した。続いて青木所長は「夢と希望が持てる業界へ力を貸してもらいたい」と協力を求めた。
意見交換は◇総合評価落札方式における賃上げ実施企業への加点措置の課題と今後の対応(栃木)◇総合評価方式等における実績評価のあり方(栃木)◇小規模土工工事におけるICT活用の推進(茨城)◇建設業のイメージアップについて(茨城)◇24年4月からの時間外労働時間の上限規制(群馬)◇建設キャリアアップシステムの推進(群馬)―の6テーマを議題に実施。いずれも共通の課題となっており、情報交換や連携しての要望を進める。
テーマごとの議論および意見は次の通り。
【総合評価落札方式における賃上げ実施企業への加点措置の課題と今後の対応】
栃建協は事前表明評価方式を事後評価方式として、特に減点制度については廃止するよう見直しの検討をすべき時期であるとするとともに、複数年評価の導入が必要とした。群建協は制度の廃止を訴え、茨建協は栃建協の意見に同意との声を上げた。
【総合評価方式等における実績評価のあり方】
公共事業費の縮減などにより、地方建設業の実績保有率は大きく低下。加えて、実績評価は同種性が厳格に扱われており、地方建設業の参入に大きな障壁となっている。国においては、これまでの総合評価の結果と地方の実情を検証し、実績評価の緩和など、そのあり方について検討すべきとした。
群建協は今後も、適切な運用を実施していただくとともに、賃上げ加点制度を含め精査するタイミングに入っているのではと意見。茨建協は個人ではなく会社の実績に重きをおいた評価をと話した。
【小規模土工工事におけるICT活用の推進】
茨城県では昨年度、小規模土工工事はICTを活用した事例が1工事に留まったことに触れ、各県の状況を確認。群馬県は2022年度に92件を実施。栃木県では22年度に7件発注し1件の実施となった。また、各県のICT活用推進に向けた取り組みを紹介した。
【建設業のイメージアップ】
茨建協では5月に建設業広報ステッカーなどを作成し全会員に配布。また、社会貢献活動の一環としてアイバンクと協力協定を締結したことや、特別支援学校の生徒と特定外来生物(オオキンケイギク)の駆除作業を行ったことを報告した。
群建協からは、女性のためのユニフォームデザインプロジェクトの制作を進めていて、9月末に完成する予定と報告。栃建協は100周年を迎えるにあたりロゴマークを一新。ベストなどにロゴマークを記すことで、協会の活動とわかるよう普及に努めていくとした。
また、いずれの協会も新たな取り組みを模索するとともに、地域に根づいた取り組みについては引き続き展開していく。
【24年4月からの時間外労働時間の上限規制】
群建協では、昨年9月から会員企業を対象にさまざまな視点から4回のアンケート調査を実施。結果から緊急時での時間外労働には、33条の災害等の時間外労働の例外規定を活用すること。平時においてはワークライブバランスを考えた働き方への意識改革が必要との考えを示した。
また、発注者に対しては、工期や工事書類の最適化への取り組みを進めてもらうとともに、それでも厳しい場合では「書類作成工期」を設定し、必要に応じて活用すること。また、早めに段取り良く工事工程を進めることで労働時間短縮が可能になることから、前倒し、前掛りに進める「フロントローディング」の取り組みを受発注者で行うことが必要との考えを示した。
栃建協は引き続き、働き方改革セミナーを実施するとともに、社会労務士による無料相談などで対応していくとした。対応方法やリスク、助成金の活用などを取りまとめ、会員企業に提示していくとした。また、災害時の例外規定については、宇都宮国道事務所、栃木県、労働局と協議の場を設けて年度末までに具体的な内容を決めるべく協議を進めているとした。
茨建協からは、昨年度には第1、第2、第3土曜を休日にするよう徹底。本年度からは土曜日を全て休日するよう会員に協力を求めている。
一方で、協力業者などの理解や発注者の適正な工期設定などが重要との見解を示し、各種建設関連団体などと一丸となり取り組んでいると報告した。
【建設キャリアアップシステムの推進】
群建協から、さらに登録を推進していくためには、例えば工事書類の簡素化、建退共制度の連携強化、レベル別の設計労務単価の設定など、登録し運用することによるメリットが目に見える形にならないと厳しいと指摘。
栃建協および茨建協ともに指摘について同等の見解であるとの考えを示した。